はるかちゃんが訴えた石川優実氏のクソリプ本裁判が結審 5月26日に判決

Twitterユーザーの「はるかちゃん」が石川優実さんのいわゆる「クソリプ本」を訴えた裁判が、2021年3月19日、東京地裁で結審し、5月26日13時30分に判決言い渡しとなるようです。

 

リプライでもないツイートをクソリプに見せかけたデザインで、さらに本来の意図とは違う解釈で、石川優実さんの本に切り取り掲載されたと被害を訴える「はるかちゃん」のインタビュー記事を昨年2020年2月に掲載しました。

石川優実さんのKuToo本で被害を訴える「はるかちゃん」にDM取材

その後、「はるかちゃん」は他の無断掲載された被害者の方たちの支援を受けて、裁判に訴えました。

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表現の改変が同一性保持権を侵害するとの原告の主張

担当の弁護士さんは、2019年8月に茨城県守谷市の常磐道で起きたあおり運転で「ガラケー女」と間違われた女性の代理人として、ネットデマ被害の救済に取り組む、インテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士です。

事件番号は東京地方裁判所令和2年(ワ)第19351号で、担当部は東京地方裁判所民事第46部(知的財産部)です。(その後、40部になったとのこと)

 

ニュースについての第三者とのやりとりを石川氏やKuToo運動に対するバッシングに改変

石川優実さんの著作『#KuToo(クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム』の『2章バックスラッシュ実録』では、石川さんのTwitterやKuToo運動に嫌がらせのように付けられたリプライ(クソリプ)を軽快にぶった切っていくという内容になっています。

ところが、今回、訴訟を起こした「はるかちゃん」をはじめ、無断掲載されたと訴える多くの人たちは、石川さんに嫌がらせのリプライなどは付けていなかったのです。

「はるかちゃん」のケースでいえば、「#KuToo」に関するネットニュースについて、石川さんではない第三者と40回近いコメントのやりとりの議論をしていただけにすぎません。

そのスレッドの最後の1ツイートだけが切り取られ、石川さんに付けられたクソリプであるとして本に掲載されています。

この石川さんの引用リツイートの部分です。

Twitterをしている人ならわかると思いますが、この「はるかちゃん」のツイートは、@asf17074127さん(凍結済み)に向けられたもので、石川優実さんに向けられたものではありません。

逆に「はるかちゃん」のツイートに、石川優実さんから引用リツイートの形で、クソリプを付けたものです。

この「はるかちゃん」のツイートを、@asf17074127さん向けということを書かずに、Twitterで石川さんとやりとりしたかのようなデザインで掲載されています。

 

石川さんの本では、「こういう人たちって、リアルな会話はどうなってるんだろうか……。リアルでもこんなに会話が噛み合わないのかなぁ。でもさすがに対面でこんなへんてこりんな人に会ったことないしな……。Twitterになると急にバグるとか?」などとバッサリ。

「はるかちゃん」は「へんてこりんな人」「バグる」などと本で人格攻撃をされたと、DMで話してくれました。体調なども崩されたようです。

また掲載本も送ってくれないので、自分のツイートがどのように使用されているのかを確認するためだけに、お金を払って興味もない本を買わなければならないという、ひどい話になっています。

 

Twitterのペンネームユーザーの権利についての初めての裁判

ペンネームユーザーの裁判ということで、記者会見などを開いていないせいか、あまり大きく報道されていませんが、この裁判は以下の内容により日本で最初の画期的なものです。

  • Twitterは、ネットで埋め込み機能を利用すれば、権利者の許可なく自由に引用ができるという規約になっているが、営利目的の紙の本の場合でも無許可で無料で掲載可能なのか?
  • ツイートをそのまま埋め込むのではない紙の本では、ツイートの所有者の校正が行われないので、誤字脱字、記載漏れなどがあっても修正できない。
  • ネットでは、反論が可能だが、無許可で営利目的の紙の本に掲載された場合、一部を切り取られ本来の意図とは違う解釈に改変されていたとしても反論ができない。
  • しかもリプライでないものを、リプライであるかのように読者に誤認させるデザインに改変して掲載するのは問題がないのだろうか?
  • 反対の立場だとしても、トレンドのネットニュースについて自由に議論しているだけのツイートを、紙の本でクソリプ扱いされてしまっては議論が萎縮してしまう。
  • 自分のタイムラインのツイートはいつでも自由に削除が可能。無許可で紙の本に掲載されては削除の権利が行使できない。
  • 匿名(ペンネーム)ユーザーだとしても、ネット上では、長期間使用していればそれなりの人格を有している。紙の本は図書館などに収蔵され、半永久的に残る。本来の意図とは違う解釈に改変され、論評とはいえない人格攻撃を受けても、匿名(ペンネーム)ユーザーの名誉権は守られないのだろうか?

 

 

5月26日の判決が注目されます。

なお、原告側では、最高裁までの戦いを考慮に入れているようです。

 

※「はるかちゃん」は、「以下略ちゃん」と同種の敬称を含むペンネームであり、「以下略ちゃん」は基本的に「さん」の敬称は必要がないと考えていますので、「はるかちゃんさん」とはせずに「はるかちゃん」としています。



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