放送作家の堀田延さんによる「なりすまし@nobubu1に開示請求、法的責任追及」をめぐる疑問と違和感

放送作家の堀田延さんが2020年7月19日にブログを更新し、「Twitterアカウントのnobubu1について」という記事を投稿されています。

記事によると、「最近、芸能人を相手に暴言を繰り返し、今回三浦春馬さん関連のひどいツイート」をした@nobubu1というアカウントは、堀田さんではなく、無関係の第三者によるものだそうです。

「なりすまし」として開示請求など法的責任を求めるということです。

現在、Twitter社になりすまし案件、その他の事例として相談中であり、また警視庁のサイバー犯罪対策本部、及び、弁護士に相談し、厳正に対処する予定です。
件の私のなりますしIDであるnobubu1が、今現在(7月19日16時)アカウントを削除して逃亡してしまったようなので、開示請求などをしてどこまで法的責任を取らせることが出来るか分かりませんが、とりあえず明日月曜日から、警察と弁護士にも相談を始めます。

(報じられている炎上について 堀田延さんのgooブログ

 

しかし、この話には個人的にとても違和感を感じてしまいます。

nobubu1@nobubu1(最初のnobubu1は使用していた名前、@nobubu1がユーザー名)は「なりすまし」なのでしょうか?

広告

ユーザー名とユーザーID

多くの人が、@nobubu1の以前のユーザー(堀田さん)と最近のユーザーが同一人物だと間違えてしまうのにも、それなりの理由があるというお話をしてみたいと思います。

 

堀田さんが2018年6月19日から、@nobubu1というIDでTwitterを利用されていたのは事実のようです。

著名人のアカウントなど、世間の関心を集めるアカウントには、本物であることを示すTwitterのブルーの認証済みバッジが付きますが、堀田さんのアカウントには認証マークもありませんでした。

 

このいわゆるIDは「ユーザー名」というもので、自分で好きな英数文字列に変更することができます。

変更はできますが、そんなにコロコロ変えるようなものでもありません。Twitter登録初期の頃に変更することはあっても、使い続けてから変更する人は珍しいです。

「ユーザー名」が変わると繋がりができた人が混乱してしまいますからね。

この「ユーザー名」は、ツイートのURLにもなっています。

 

それとは別にTwitterには「ユーザーID(内部ID)」というものが存在し、こちらは登録時に割り振られたもので変更することはできません。

ユーザーID(内部ID)は

TwitterのIDチェッカー

など非公式アプリで調べることができますが、Twitterの公式アプリなどからでは公開されていないので、一般ユーザーには判断できません。

 

TwitterのIDチェッカーで、@nobubu1を調べてみると、2つのユーザーIDが確認できます。

nobubu1

これを根拠に最新の@nobubu1は、「なりすまし」であるという話のようですが、ここでひとつの疑問が出てきます。

 

実はTwitterの「ユーザー名」は、アカウントを削除したり、アカウントが凍結になったりした場合でも、他の人はその「ユーザー名」を使うことができないのです。

堀田さんが@nobubu1を削除されたということなら、@nobubu1を第三者が使用することはできません。

 

実験として、「なりすまし」の@nobubu1がアカウント削除済みということですので、試しに@nobubu1を登録してみます。

しかし、「ユーザー名は使われています。他のものを選んでください」というエラーメッセージが出て、登録することはできません。

「ユーザー名」は他の人と同じものは使用できません。文字列の数字部分を「110」など空いている文字列にしないと変更はできません。

nobubu02

 

つまり、凍結や削除の場合でも、「なりすまし」が出現しないように、その文字列は保護されているのです。

アカウント削除の場合でも、30日以内なら、復活も可能です。

 

アカウントを削除した場合、その「ユーザー名」は他の人は使用できません。

 

このことがあるので、内部ID履歴だけでは、別人による「なりすまし」がどうかは第三者からは判断がつかないのです。

混乱します。

なぜ中の人が別人に入れ替わったのでしょうか?

どこで入れ替わったのでしょうか?

 

アカウント削除でなくユーザー名変更が原因

その疑問の答えも堀田さんのブログにありました。

約二ヶ月前、Twitterアカウントを削除する際に、Twitterのアカウント変更機能でnobubu1を一度別のものに変える操作をし、その直後にアカウントを丸ごと削除する機能に気付いてそちらを実行した結果、nobubu1というかつて私が使っていたアカウントは、すぐに誰でも使える空きアカウントとなり、保護されることなくなりすましアカウントとして使用されることになったようです。

(報じられている炎上について 堀田延さんのgooブログ

 

炎上対策だったのでしょうか? アカウント削除する直前に「ユーザー名」を一度、別のものに変えてから、その別の「ユーザー名」でアカウント削除されたということです。

トリッキーな操作ですね。

 

Twitterの「ユーザー名」は変更した場合、その瞬間から元の「ユーザー名」は「空き」となり、別の第三者の使用が可能となります。

アカウント削除とは関係なしに、空いた瞬間から別の第三者が自由に使用できるのです。

 

保護されるのは「履歴」ではなく、現在使用している「ユーザー名」ひとつだけですから、変更後の最新の「ユーザー名」だけが保護されます。

その最新の「ユーザー名」に変更されたことを周知しないままアカウント削除されてしまったのでは、多くの人が混乱するだけです。

 

パスワードを盗んでの乗っ取りでもありません。

「空き」の「ユーザー名」を使用していただけ?

nobubuはありふれた文字列ですから、@nobubu2さんも@nobubu3さんも存在します。

 

「空き」の「ユーザー名」は誰でも自由に使用できますから、@nobubu1を誰かが使用したというだけでは「なりすまし」とはいえないのではないでしょうか?

「ユーザー名」を変えてしまうと、元の「ユーザー名」に対する権利はなくなってしまいます。

 

「なりすまし」と言えるケースは、新しい@nobubu1が「放送作家 堀田延」さんを名乗っていた場合などですが、そのようなプロフィールやツイートが確認されていたのでしょうか?

@nobubu1は、すでに削除済みですので、今回そこまでの詳細な追跡はできませんでした。

 

 

今回は、

「ユーザー名」を変更すると元の「ユーザー名」を誰かに使われてしまいますよ、というお話でした。

 



広告