「チケット不正転売禁止法」について5つの疑問ポイントを解説します…「チケット不正転売禁止法がよくわかるQ&A」(第一法規)を読んで

2019年6月14日(金)より、「チケット不正転売禁止法」(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が施行されました。

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「チケット不正転売禁止法」の概要

「チケット不正転売禁止法」の概要は次のとおりです。

特定興行入場券の不正転売等の禁止

不正転売の禁止
何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない

不正転売目的の譲受けの禁止
何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受けてはならない

 

興行主等
興行主又は興行主の同意を得て興行入場券の販売を業として行う者

• 特定興行入場券 ※QRコードやICカードを入場券とする場合を含む。
興行入場券(それを提示することにより興行を行う場所に入場することができる証票)であって、不特定又は多数の者に販売され、かつ、
①興行主等が、販売時に、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該入場券の券面等に表示し
②興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者又は座席が指定され
③興行主等が、販売時に、入場資格者又は購入者の氏名及び連絡先を確認する措置を講じ、かつ、その旨を当該入場券の券面等に表示しているもの

 

• 特定興行入場券の不正転売
興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするもの

違反者は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又は併科

※国民の国外犯も処罰

簡単に言うと、「興行主が無許可転売禁止を明示」しているチケットを許可なく「業として」「販売価格を超える価格で転売してはいけない」という法律です。



チケット転売サイトでチェックしてみると

7月5日(金)に日本武道館で、松田聖子さんの公演があり、6月27日にFC先行チケットが発送されたようです。

松田聖子さんのオフィシャルHPには、「チケット裏面に記載の通りコンサートチケットの転売は禁じられており、転売されたチケットによるご入場をお断りさせていただきます。」と書かれています。

チケット流通センターで、「松田聖子 Pre 40th Anniversary Concert Tour 2019」の7月5日(金)のこのチケットの出品状況をチェックしてみました。

 

6月29日午後3時15分現在、168件の出品があり、最高価格は47000円、最低価格は9999円になっていました。

定価は、プレミアムシート¥22,000、S席¥8,900(各税込)です。

すべての出品が定価を超える価格を付けていました。

 

「チケット不正転売禁止法がよくわかるQ&A」

「チケット不正転売禁止法がよくわかるQ&A」(第一法規)という本を読みました。

80件の疑問がQ&A形式で書かれた本です。

この本を読んで、個人的に感じていたいろいろな疑問が解けましたので、疑問に思っていた5つのポイントについて、まとめておきたいと思います。

 

①チケットを購入するための整理券や予約番号は?

入場券ではない、チケットを購入するための整理券や予約番号などは、「チケット不正転売禁止法」の対象外です。

 

②入場資格者が指定されていない自由席券は?

興行入場券のうち、入場資格者が指定されていない自由席券は、規制の対象外です。

「フェス」のように座席が存在しない場合や、一定のゾーン内で自由に移動可能な場合は、規制の対象外です。

ただし、そのような会場形態のチケットでも、入場資格者が指定されていれば規制対象となる可能性があります。

 

③複数人分のチケットの場合は?

グループの代表者のみ氏名および連絡先が確認されている複数人分のグループチケットの場合、あるいは一人のチケットに知人の招待権利が付いている場合。

このケースでは、入場資格者が指定されていれば代表者分のチケットは「チケット不正転売禁止法」の対象となりますが、同行者分のチケットあるいは権利については、「チケット不正転売禁止法」の規制の対象外です。

法の抜け穴っぽいですが、代表者が同行していれば、同行者分のチケットあるいは権利については規制の対象外のようです。



④グッズなどとの抱き合わせ販売の場合は?

いわゆる抱き合わせ販売の場合(例えば人気アーティスト定価8000円のチケットとコンサート会場などでしか販売されていない定価2000円の限定タオルを、合計8万円で販売するケース)。

転売する場合に、コンサートチケットは8000円、グッズが72000円と内訳が書かれている場合でも、その限定タオルのオークションサイトなどでの落札額が、せいぜい1万円である場合は、定価8000円のコンサートチケットに実質7万円の転売価格を付けていたことになります。

こうしたケースでは「特定興行入場券の不正転売」に該当するとされる可能性があります。

ただ、個人的には、流通の少ないマイナーなグッズをオークションサイトに出品して、自分(仲間内)で高値で落札して落札価格を作って、その高額な落札価格で抱き合わせ販売した場合は、どうなるのか、抜け穴ではないのかな、と感じました。

 

⑤「チケット不正転売禁止法」の施行前に販売されたチケットは?

「チケット不正転売禁止法」の施行前に販売されたチケット、例えば、すでに販売されている「ラグビーワールドカップ2019日本大会」のチケットも、「チケット不正転売禁止法」の施行後に不正転売された場合は、罰則が適用されます。

(参考:「チケット不正転売禁止法がよくわかるQ&A」



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