比例で当選したのに離党 有田芳生さんは辞職すべき? 国会法ではどう書いてある?

画像は有田芳生公式ツイッターより

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比例で当選した議員が離党するのであれば辞職して議席を返上するのが筋

国会法第109条の2に大きな抜け穴

民進党から資金をもらい、民進党の選挙カーで選挙運動を行い、民進党の組織票を多くもらって、比例で民進党の参議院議員として当選した有田芳生さんが、民進党を離党して立憲民主党に移籍するそうです。

有田芳生 民進党参議院比例区第61総支部 平成28年分 収支報告書より

民進党から選挙資金(政党助成金)をもらっています。

 

有田芳生氏が立憲民主党に入党へ 辞職すべきの声

民進党の比例議員である有田芳生さんが民進党を見捨てて他党へ移籍することに、批判の声があがっています。

 

百田尚樹さんも「比例代表の議員は離党したら議員辞職すべき」

百田尚樹さん 「有田さんだけじゃなく、比例議員で当選した人間は党を辞める時は議員辞職というのをルール化すべき」

ベストセラー作家の百田尚樹さんも、虎ノ門ニュースの中で「比例代表の議員は離党したら議員辞職すべき」と批判しています。

 

有田芳生さんは開き直り

これに対して、有田芳生さんは「比例代表で当選した議員の政党間移動は国会法などで禁じられているが、新党は例外で法的問題はない」と開き直っています。

 

そうは言っても、比例議員の他党移籍は、やはりおかしいと思う人は多いでしょう。

選挙区当選者は、有権者が「人」を選んだわけですからその「人」が自由に政党を移動することは問題がないと思います。

比例当選者の場合は、有権者は「政党」に投票して議席を与えたわけですから、当選者は「政党」の意思を国会に運ぶのが仕事です。その「政党」が存続する限りは最初の「政党」に所属し続けなければ筋が通らないと思います。

比例議員の他党移籍について、法律ではどのように書かれているでしょうか?

 

比例議員の政党の移籍は原則禁止

国会法109条の2は、比例代表で当選した議員の政党の移籍を原則、禁じています。

しかし、抜け穴があるのです。

国会法109条の2は次のように書いています。()が複雑で読み難い文章になっていますので本文を色分けして読みやすくしました。面倒な人は黄色のマーカーの部分だけ読んで下さい。

第109条の2

衆議院の比例代表選出議員が、議員となつた日以後において、当該議員が衆議院名簿登載者

(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第86条の2第1項に規定する衆議院名簿登載者をいう。以下この項において同じ。)

であつた衆議院名簿届出政党等

(同条第1項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。以下この項において同じ。)

以外の政党その他の政治団体で、当該議員が選出された選挙における衆議院名簿届出政党等であるもの

(当該議員が衆議院名簿登載者であつた衆議院名簿届出政党等(当該衆議院名簿届出政党等に係る合併又は分割(二以上の政党その他の政治団体の設立を目的として一の政党その他の政治団体が解散し、当該二以上の政党その他の政治団体が設立されることをいう。次項において同じ。)が行われた場合における当該合併後に存続する政党その他の政治団体若しくは当該合併により設立された政党その他の政治団体又は当該分割により設立された政党その他の政治団体を含む。)を含む二以上の政党その他の政治団体の合併により当該合併後に存続するものを除く。)

に所属する者となつたとき

(議員となつた日において所属する者である場合を含む。)

は、退職者となる。

2 参議院の比例代表選出議員が、議員となつた日以後において、当該議員が参議院名簿登載者

(公職選挙法第86条の3第1項に規定する参議院名簿登載者をいう。以下この項において同じ。)

であつた参議院名簿届出政党等

(同条第1項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。以下この項において同じ。)

以外の政党その他の政治団体で、当該議員が選出された選挙における参議院名簿届出政党等であるもの

(当該議員が参議院名簿登載者であつた参議院名簿届出政党等(当該参議院名簿届出政党等に係る合併又は分割が行われた場合における当該合併後に存続する政党その他の政治団体若しくは当該合併により設立された政党その他の政治団体又は当該分割により設立された政党その他の政治団体を含む。)を含む二以上の政党その他の政治団体の合併により当該合併後に存続するものを除く。)

に所属する者となつたとき

(議員となつた日において所属する者である場合を含む。)

は、退職者となる。

比例代表で当選した議員が選挙で競合した政党や政治団体に移ることを禁じている法律です。自分が当選した選挙で、競合した他党に移籍した場合は退職と書かれています。

しかしこの法律には抜け穴があります。

選挙に候補者をひとりも出さなかった政党に移籍する場合は、この条文に引っかからないのです。

有田芳生さんの言う「新党は例外」とは書かれていませんが、新党も候補者を出していなかったわけですから、この禁止事項から除外されてしまいます。

比例では選挙区で当選できないような候補者も当選しています。これは政党の声を届けるためにほかなりません。

少なくとも、当選させてくれた政党が存続している限りは、その政党に所属しなければならない決まりにしなければ筋が通らないと思います。



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