(3月25日午前の参議院予算委員会)
3月25日の時事通信の記事「麻生氏、札幌を「奥地」と表現=野党議員批判-参院予算委」は、悪意ある切り取りだと思いますので、麻生大臣の発言全文を書き起こしてみました。
JR北海道の経営悪化は北海道新幹線の赤字によるものではないか、という徳永エリ議員の質問に対して、麻生大臣が回答しています。
「奥地の札幌のほうが奥地じゃない」
麻生財務相「この北海道新幹線については、もうこれは(徳永エリ)先生ご存知のように着工するに当たって、収支の採算性とか、投資効果。(やじに対して)今言われた着工の五条件ですよね。その五条件についてはJR北海道を含むいわゆる関係者で確認をした上で始めておられるというのはご存知のとおりです。したがいまして、この考え方にそって今後やっていかにぁいかんのですが、JR北海道の経営が自立していくようにプラス方向にもっていかにぁいかんわけですけども。先生ご存知なんでしょうけれども、貨物と併用しているっていうじたいっていうのを皆、知らない人が圧倒的に多いんですよね。これを併用していくためにですね、少なくともスピードは140キロまでしか出せなかったはずなんだが、それを160キロに上げられるように努力した結果、3時間58分になったという話を先ほど石井先生がしておられるんだと思うんですが、これを今後200キロに上げていくというのはほぼ出来上がりつつありますんで、さらに時間が短くなるというようなことがでてきますんで、ひとつ状況としては間違いなく良くなります。
それから、いわゆる新幹線事業というのは、函館じゃなくて北海道の場合は奥地の札幌のほうが奥地じゃないんですよね。
今、函館の人に言ったら『ようこそ奥地から』と今でも函館の人は言うよね。たしかに札幌の人に向かって。函館、行きましたけど。『奥地からようこそ』って言ってるのを見て、あー函館はプライドがあるなと思って聞いてましたよ、その時は。
だけど、その奥地のほうが今、しかもこれ小樽経由して入ってきますからね。そういった意味では、いろんな形でこの状況が変わってきている。変わってくることになりますんで、新幹線としての採算としては、石井大臣が言われましたように、形としては不動産とか開発事業とか観光事業とかいうのが、だいたい鉄道というのはそれじたいで儲けているより、関連関係で儲けている利益のほうが大きいのははっきりしていますから。
そういった意味ではJR九州っていう赤字を抱えた会社をそばで見てましたけれども、間違いなくJR九州は北海道、四国。赤字といわれた九州が黒字になった背景というのは間違いなくそういった観光とか開発とかそういったものをやってきたことは事実だと思いますんで。こういったような努力がないと、うまくいきませんよ。」
徳永エリ議員「あの、麻生大臣、いま奥地とおっしゃいましたけれども、北海道の人、奥地とは言っておりません。本州のことを内地と言ったりはしますけれども。あまり奥地という言葉は使わないと思います。あまり適切ではないかもしれません。はい、時間がありませんので、そこはお伝えしておきたいと思いますけれども(以下略)」
「おくち(奥地)」は道南の方言
麻生大臣と徳永エリ議員の発言が噛み合っていません。
麻生大臣は「函館に行ったら函館の人が、札幌のことを『奥地からようこそ』と言っていた。でも札幌のほうが奥地ではない(発展している)」と言っています。
それに対して、徳永エリ議員が「北海道の人は奥地と言いません。適切な言葉ではない」と言っています。
麻生大臣が、経験談を話しているだけなのに、なぜか徳永エリ議員がそれを否定している形です。麻生大臣が函館でそういう声を聞いたのがウソだと徳永エリ議員が言っていることになります。
少し調べればすぐにわかることですが、「おくち(奥地)」は道南の方言です。
道南の方言として存在するのですから、「北海道の人は奥地と言いません」という徳永エリ議員の方が間違っています。
北海道は広いです。一般的には北海道は道央・道南・道北・道東の4つに分けられます。
道南とは、後志(しりべし)・檜山・渡島(おしま)地方。函館のことです。
道央が、石狩・空知(そらち)・胆振(いぶり)・日高地方。札幌・新千歳空港のある千歳・室蘭・苫小牧などが該当します。
徳永エリ議員は、札幌市の出身ですから、道央ということになります。
この二人のやりとりは、道央出身の徳永エリ議員が道南の方言に詳しくなかったがために、思い込みで発言してしまったというのが真相ではないかと、以下略ちゃんは判断しています。
「札幌の人は奥地とは言わない」であれば正しいですが、「北海道の人は奥地とは言わない」は間違いです。徳永エリ議員の発言は「道南は北海道ではない」と言っているようなものです。
どちらかというと、函館の方言を否定して道南の人を見下した発言で、適切でないのは徳永エリ議員の方ではないかと思います。発言を取り消すべきは、徳永エリ議員です。
レベルが低すぎる時事通信と小西ひろゆき議員
問題なのは、これを切り取って、きちんと調べて考察もせずに、麻生大臣の失言であるかのようにニュースとして流した時事通信です。
もうね、レベルが低すぎて呆れてしまいます。
さらに馬鹿げているのはTwitterで批判されるとブロックして国民の声をまったく聞かないこの人です。
麻生氏、札幌を「奥地」と表現=野党議員批判-参院予算委https://t.co/smF2Lzt8E2
この2月に予算委で「子どもを産まなかった方が問題だ」と失言したばかり。前回も今回も、当事者の国民の立場に立って考える感覚が一ミリでもあればあり得ない暴言。即刻辞職すべきだ。
— 小西ひろゆき (参議院議員) (@konishihiroyuki) 2019年3月25日
小西ひろゆき議員は、 徳島県徳島市出身、千葉選挙区の参議院議員です。道南の方言などはまったく知らないでしょう。
ブロックばかりしているから、きちんと正しい判断ができずに「即刻辞職すべきだ」などと、切り取り報道だけを鵜呑みにして発言するのです。
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