河野太郎外相の「次の質問をどうぞ」をめぐる低レベルなマスコミの対応

(画像は、繰り返しの日露関係についての記者の質問に憤りを抑えるように水を飲む河野太郎外相)

北方領土問題をめぐり12月11日、違和感のあるマスコミの対応が見られました。

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河野太郎外相の「次の質問をどうぞ」を糾弾する記事

12月11日 3時55分に「ロシア副首相 北方領土問題めぐり強い姿勢強調」というニュースがあり、

北方領土問題をめぐり、日本とロシアは、日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させると合意しましたが、ロシアの副首相は「両国の首脳は、島の引き渡しに関わる問題はこれまでいっさい議論していない」と述べ、強い姿勢で交渉に臨むと内外に強調しました。(NHKニュース 2018年12月11日 3時55分)

それに続いて、11日 16時18分に、次のようなニュースがありました。

北方領土問題でロシア側が日本をけん制する発言をしていることについて、河野外務大臣は、11日の記者会見で見解を問われましたが、記者の質問を繰り返し無視する一幕がありました。河野大臣には、交渉に向けた環境を整えるねらいがあるとみられますが、質問そのものに応じない姿勢には批判が出ることも予想されます。(NHKニュース 2018年12月11日 16時18分)

16時18分のニュースは、そのものズバリ、「「次の質問をどうぞ」河野外相 会見で質問を繰り返し無視」というタイトルで、河野太郎外相の対応に腹を立てた記者が書いた河野外相を糾弾する記事になっています。

記事の組み立てを分析してみると、冒頭で「質問そのものに応じない姿勢には批判が出ることも予想されます。」=批判しろ、と書いて、結論に、立憲民主党の辻元清美 国会対策委員長の「記者が質問する後ろには国民がいる」「親子孫3代で議員をやっている世間知らずな大臣」「外務大臣失格」という言葉だけを持ってきています。

与党側のコメントはなく、この記事を読んだ多くの人が河野外相の対応に不満を感じるように書いているわけです。注意深く読まないと書き手の意図に誘導されてしまう記事です。

記者の鬱憤ばらしが目的じゃないかと思える記事です。

国にとって重要な領土問題の外交交渉に対して、どういうつもりなのかと思いますね。記者のプライドが優先とは、記者のレベルが低すぎます。

このことをツイートしたところ、500リツイート、800いいね、50リプライとたくさんの共感する反応をいただきました。



動画で見ると印象はガラリと違う

切り取りではないこの日の河野外相の動画を見てみると、報道とはまったく違った印象を感じると思います。

辻元清美さんが言うように「質問にまともに答えず、無視するような姿勢」ではなくて、河野外相は記者の質問にはきちんとていねいに受け答えしています。

「北方領土の外交交渉」についての質問だけ「次の質問をどうぞ」と答えているのです。

これは日露関係について質問を繰り返している記者自身が「大臣は日露関係については交渉に資することはないので発言は一切控えるとおっしゃってますけど…」と質問中に言っているように、河野外相はやはり「日露関係については一切発言しない」と返しているだけのことです。

「交渉に資することはないので発言は一切控える」と言っているのですから、ここは静かに見守って「交渉を応援」してあげればいいと思うのですが、どうして足を引っ張るようなことをしているのか理解に苦しむところです。

しかも、河野外相は最後の質問では(次の質問はないので)、「交渉に向けての環境をしっかり整えたいと思っております」とまともに答えているわけですから、それで終わりです。

にもかかわらず、この件に関してだけを切り取り、辻元清美さんのコメントだけを付けてニュースにすることには悪意すら感じてしまいます。

河野外務大臣会見(平成30年12月11日)

 



日本とロシアの認識の違い

日本では、ソ連軍が終戦後の1945年の8月28日から9月1日までに、ドサクサに紛れて北方領土の択捉・国後・色丹島を占領したと考えられています。

ところがロシアでは、日本が連合国の降伏文書に調印する9月2日までは日本とソ連の間でまだ戦争は続いていたと考えています。

ロシア国内の学校では、ロシアの北方四島領有は第二次世界大戦の結果承認された正当な物であり、北方四島はロシア固有の領土であると教えている。このため、ロシア国内にて、北方領土問題は日本政府の一方的な主張に過ぎず、正当性の無い物である、という認識が一般化している。(ウィキペディア)

教育はとても大切で、このように教えられてきたロシアの国民は、現在では北方四島の日本返還には圧倒的多数が反対しているようです。とても難しい交渉であることが推測できます。

河野外相が、記者のプライドを考慮して、やんわりと返すべきだったという意見もあるでしょうが、ここは記者の方がより大人になって、国益を優先に考えてもらいたいものだと思う気持ちの方が強いです。

「記者が質問する後ろには国民がいる」とマスコミは言いますが、国民はその記者とマスコミの言動もチェックする時代なのです。

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