白血病を乗り越えて、東京五輪代表に内定した競泳女子の池江璃花子さんの5月7日の5つの連続ツイートについて、「仕込み」「電通案件」などといったいわゆる陰謀論が流されています。
池江璃花子さんのツイートの記事が、バズフィードで約8分後、ディリースポーツにいたっては池江さんの最後のツイートよりも記事の投稿の方が時間的に早いというのです。
つまり、「関係各社は事前に原稿を入手していた」疑惑です。
今回は、この陰謀論について考察してみます。
バズフィードの記事は、池江選手のツイートの8分後
PCR検査抑制メディア、バズフィードの記事は、池江選手のツイートの8分後
— 危ないサル🐵🥞🍎 (@odoro8) May 8, 2021
デイリーの記事は、池江選手の5つの連続ツイートの最後より早い
デイリーは「リアルタイムで記事を配信し、最後に編集をしただけで時系列に問題は無い」と言うのでしょうが
各メディアの記事と池江選手のツイートは不自然。
「池江選手のツイートの8分後にバズフィードが記事をアップ」が事実だとしたら(確認していない)、メディア各社に事前リリースが流れていたということでしょ。
— ഇച്ചിറോ ഇഡ(てぃんぶく) (@timbuk16) May 7, 2021
まあ、SK-IIがスポンサードということを考慮するなら勝手気ままにツイートできる環境にはないのでしょう。全て検閲済みと思われ。
まったくそのようなことはありません
結論から書くと、当ブログでは、BuzzFeed記者の はたちこうたさんの主張をそのまま信じるものであります。
バズフィードの はたちこうたさんは、「まったくそのようなことはありません」と、この疑惑を否定されています。
昨晩の池江選手の記事に対し、その公開スピードから「完全に仕込み」「電通案件」などという憶測が飛び交っていますが、まったくそのようなことはありません😇
— はたちこうた Kota Hatachi (@togemaru_k) May 7, 2021
ツイートは最初のひとつから最後まで30分ほどの時間があり、リアルタイムで追いながら、記事を構成していました。https://t.co/ezCpGrrpRm
バズフィードさんの池江さんの記事は、池江さんのツイートのコピペ転載とリライトだけで構成されていて、記者独自の考察やオチがまったくありません。
記事広告などはあらかじめ設定されているはずですから、文章を書くだけで投稿が可能です。
他人のツイートのコピペ転載とリライトだけの記事なら、10分もあれば十分(ダジャレです)、投稿できるでしょう。
池江璃花子さんの最後の投稿は21時26分
ここで池江さんの5つの連続ツイートを確認してみましょう。
5つの連続ツイートは、最初の投稿が21時01分、最後の投稿が21時26分です。
バズフィードの はたちこうたさんは、「ツイートは最初のひとつから最後まで30分ほどの時間があり」とおっしゃられていますが、正確には25分です。
記事の投稿がその8分後であるならば、
それでも、最初の投稿に気がついてから記事を書き始めて、約33分間の余裕があることになります。
いつも応援ありがとうございます。
— 池江 璃花子 (@rikakoikee) May 7, 2021
Instagramのダイレクトメッセージ、Twitterのリプライに「辞退してほしい」「反対に声をあげてほしい」などのコメントが寄せられている事を知りました。もちろん、私たちアスリートはオリンピックに出るため、ずっと頑張ってきました。ですが、↓
今このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然の事だと思っています。私も、他の選手もきっとオリンピックがあってもなくても、決まったことは受け入れ、やるならもちろん全力で、ないなら次に向けて、頑張るだけだと思っています。1年延期されたオリンピックは↓
— 池江 璃花子 (@rikakoikee) May 7, 2021
私のような選手であれば、ラッキーでもあり、逆に絶望してしまう選手もいます。持病を持ってる私も、開催され無くても今、目の前にある重症化リスクに日々不安な生活も送っています。私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません。ただ今やるべき事を全うし、応援していただいてる方達の↓
— 池江 璃花子 (@rikakoikee) May 7, 2021
期待に応えたい一心で日々の練習をしています。オリンピックについて、良いメッセージもあれば、正直、今日は非常に心を痛めたメッセージもありました。この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです。↓
— 池江 璃花子 (@rikakoikee) May 7, 2021
長くなってしまいましたが、わたしに限らず、頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守っていてほしいなと思います。
— 池江 璃花子 (@rikakoikee) May 7, 2021
バズフィードさんの記事をよくみると、前半は池江さんのツイートのリライト、後半はツイートのコピペ転載という構成になっています。
他人のツイートをコピペ転載とリライトするだけの記事であるならば、8分後でも特に速いというわけではありません。
どうして急いで記事を投稿するのかというと、早く投稿すればするほどSEO的に有利でアクセスが集まり、広告収入が増えるからです。
元ネタはひとつですから、各社から、似たような記事が殺到します。オリジナリティのないこうしたトレンド系の記事では、時間だけが勝負なのです。
誰かのツイートをペタッ。過激なタイトル付けて出来上がり。こうした省エネ記事は、『○○速報』といったまとめサイトにみられる手法ですが、それを取り入れたものと考えられます。
個人的には、こうした省エネ記事は、オリジナルのアクセスを奪うだけなので、あまり好ましいものではないと考えています。
「コメント付けて引用リツイートすればいいだけでは?」と思いますし、以下略ちゃんは、オリジナルを尊重してまず引用リツイートするように心がけています。
でも、引用リツイートでは儲かりませんからね。他人のツイートで自分のサイトに誘導しようとする気持ちも、わからないではありません。
ディリースポーツの場合
記事の投稿の方が池江さんの最後のツイートよりも時間的に早いと指摘されているディリースポーツも見てみましょう。
ディリースポーツのサイトの記事一覧を確認すると、同じネタで4つの記事が残っていました。
記事を書き足しながら、記事更新をしていった形跡が読み取れます。
ネットの記事では、「投稿時間」と「更新時間」があり、一般に投稿設定で、
「投稿時間のみ表示」
「投稿時間と更新時間を表示」
「更新時間のみ表示」
を選択できるようになっています。
こちらは、「投稿時間のみ表示」になっていて、そのまま記事更新されていったものと考えられます。
つまり、最初の投稿時間だけを見て騒いでいる人がいるわけです。
Twitter規約ではAPI埋め込み
以上、池江璃花子さんの5月7日の5つの連続ツイートと各社の記事の投稿時間の関係について、特に怪しいと思える部分はありませんでした。
ただ、個人的に特に問題だと思うことがあります。
それは、バズフィードさんなどが、池江さんのツイートをTwitter社が規約で指定したAPI埋め込みの方法をとらずに、文章のコピペで転載していることです。
こうした手法は、オリジナルへのアクセスを奪うだけですから、ほんと、やめてもらいたいと思います。