(画像は、東日本旅客鉄道伊東線の網代駅駅舎。2016年撮影。ウィキペディアより )
前回の記事、
で、「利用客が減っている無人駅に、どんどんエレベーターを設置するのはコスト的に無理があります。」と書きましたが、その後、伊東線の無人駅のバリアフリー事業について詳しいことがわかりましたので補足で記事を書きます。
JR伊東線の途中4駅が無人化
東日本旅客鉄道(JR東日本)の伊東線は、熱海と伊豆急行線の伊東までの16.9kmの路線です。
途中駅は、来宮、伊豆多賀、網代、宇佐美の4つです。
この途中4駅が2015年3月8日に無人化されました。無人駅化に合わせ「駅遠隔操作システム」が導入されています。
車いす対応のエレベーターが、宇佐美駅、網代駅に設置
無人化されたJR伊東線内の途中4駅におけるバリアフリーについては、2015年から自民党の勝俣孝明衆院議員なども要望を行っていたようです。
2017年4月1日には、車いす対応のエレベーターが、宇佐美駅、網代駅に設置されました。
■車椅子対応、きょう供用開始
JR東日本が伊東線の宇佐美、網代両駅で進めていたエレベーター設置工事が完了。1日の始発列車から供用を開始する。
宇佐美駅のエレベーターは渡線橋の上りホームと下りホームの両側に1基ずつ設置された。11人乗りの車椅子対応型。網代駅には同規格のエレベーターが1基設置された。
両駅へのエレベーター設置は駅無人化に伴うバリアフリー対策事業の一環。両市・市議会が同社と国土交通省に要望し、実現した。整備費は国、JR、市が3分の1ずつ負担した。
同社広報室は「地元の皆さんの要望に応えることができた。市民や観光客の利便性向上に役立つことを願っている」と話した。(伊豆新聞 2017年04月01日)
駅エレベーターの総整備費については、別の記事に書かれていました。
2015年3月のJR伊東線の駅無人化に伴い、JR東日本が網代駅で進めてきたエレベーター設置工事が完了し、4月1日の始発列車から供用を開始した。
バリアフリー対策事業の一環で11人乗りの車椅子対応型。地元の川口健市議と勝俣孝明衆院議員が自民党党本部、JR東日本、国土交通省に要望し、2年かけて供用にこぎ着けた。
総整備費は2億400万円。国、JR、市がおよそ3分の1ずつ負担し、熱海市は6000万円。川口市議は「地元の皆さんや観光客の要望に応えることができた。日本一の温泉観光地を目指す熱海市に駅のバリアフリーは不可欠。年間約40万人の参拝客が訪れる来宮神社がある来宮駅や伊豆多賀駅への設置も必要で、利便性向上に役立てたい」と話した。
(熱海ネット新聞 2017年04月01日)
島式ホームでエレベーターが1基設置された網代駅の総整備費は2億400万円です。
宇佐美駅は対面式ホームで、跨線橋にエレベーターが2基設置されていますので、これの倍近い費用がかかっていると思われます。
これとは別に、熱海市のホームページによれば、伊豆多賀駅はバリアフリー事業としてホーム段差解消(ホーム嵩上げ) を行っているようです。
要は、優先順位の問題
新型コロナウイルス感染症で、当時とは鉄道を含む状況が一変してしまっていますが、今回の社民党の伊是名夏子さんの炎上騒動がなくても、伊東線の無人駅への駅エレベーターの設置は進んでいるようです。
2億円の予算があれば、例えば瀕死の観光業に「1泊2000円の宿泊補助を10万人分」付けることも出来ます。
新型コロナウイルスの影響は避けられませんが、要は、優先順位の問題で、残りの来宮駅や伊豆多賀駅についても、バリアフリーに関して何もしていないというわけではないようです。
まとめ
- JR伊東線の4つの無人駅のうち2つは2017年に設置されている。その後、新型コロナウイルス感染症で状況が一変。
- JR伊東線の無人駅の駅エレベーターの設置費用は、1基2億400万円(2017年)。国、JR、市がおよそ3分の1ずつ負担し、熱海市は6000万円。
- 無人駅の駅エレベーターの設置は、地元の自民党市議や衆院議員が、すでに熱心に要望している。
- 実現は、おそらく予算と優先順位の問題。放置しているわけではない。