レイモン・アロン「正直でありながらも、頭の良い人は左派にはなれない」の出典は朝鮮日報?

画像はRaymond Aron (1966)

フランスの社会学者、哲学者、政治学者、ジャーナリストであるレイモン・アロンさんが「正直でありながらも、頭の良い人は左派にはなれない」と言ったのだそうです。

なかなか面白い発言です。

実際の発言は、どういうものだったのか気になります。

レイモン・アロンさんが日本語を話せるとは思いません。誰かの翻訳でしょう。

広告

【コラム】正直でも頭が良いわけでもない「左派勢力」(下)

出典を調べてみましたが、よくわかりません。

たどり着いたのが、2007年の朝鮮日報のコラムです。

 

 左派勢力の最大の特徴は、自分たちが天変地異によって突然空から降りてきた、過去の歴史とは無関係な存在であるかのように振る舞うことだ。彼らには、今日の自分たちがあるのは、先人のおかげであるといった考えはみじんもない。伝統やたしなみ、良俗も時代後れの役に立たないものとして片付けてしまう。

また左派勢力は概して、まず全人類、それから第3世界、アジア、祖国と同胞、隣人、家族の順に愛すべきといった偽善を前面に打ち出すのが習慣となっている。目前の北朝鮮住民の人権には見て見ぬふりをしながら、ことあるごとに遠くイラクやパレスチナの人権問題に触れるのも、そうした偽善が原因だ。

左派勢力はまた、思ったようにいかないことがあれば、何でも他人のせいにする。そうした意味で、韓国の左派勢力は元祖左派マルクス主義の忠実な後継者だといえる。

マルクスはロンドンで『資本論』を執筆していたころ、3人の子供を肺炎や気管支炎、結核で失った。しかし葬儀屋が掛け売りしてくれなかったため、たった2ポンドの棺おけすら買うことができなかった。悲嘆に暮れたマルクスはこうした不幸がすべて資本主義のせいだと考えた。ところが後になって明らかになったことだが、当時マルクスには英国中流社会の3倍もの収入があったという。そのため不幸の原因は貧困ではなく、マルクスの経済感覚にあったと考えられる。

かつて哲学者・社会学者・国際政治学者・経済学者などとして知られたレイモン・アロンという多才なフランス人学者がいた。そのアロンが紹介した左派識別法はとても明快だ。それは「正直でありながらも、頭の良い人は左派にはなれない」というものだ。言い換えれば、「正直な左派は頭が悪く、頭が良い左派は正直ではない」ということになる。

1983年に亡くなったアロンが、もし現在の韓国を見たなら、「正直でなく、頭も悪い人間だけが左派になれる」というさらに分かりやすい識別法を提案していたかも知れない。

盧武鉉政権の罪は、左派であることではない。頭が悪い上に、正直でもない左派であるから罪なのだ。そして身の程知らずにも、国のあらゆる政策について、ああでもないこうでもないと手を加えては、この国をここまで堕落させるという罪を犯した。

今年一年、われわれにとって最大の課題は、正直でもないくせに頭まで悪い人々の代わりに、正直で頭の良い人々を見つけることにほかならない。

姜天錫(カン・チョンソク)論説委員

【コラム】正直でも頭が良いわけでもない「左派勢力」(下) | Chosun Online | 朝鮮日報 2007年3月18日

 

韓国の現状について書かれたコラムですが、そのまま日本に当てはめてもピッタリです。

 

「正直でありながらも、頭の良い人は左派にはなれない」はレイモン・アロンさんの著書からではなく、この姜天錫(カン・チョンソク)論説委員の朝鮮日報のコラムがソースになっているようです。

 



広告