「ひろしまタイムライン」NHKが謝罪 Twitterの功罪について シュンくんの乗った列車が特定される

(画像は、戦後まもなくの満員列車。記事内容とは関係ありません。パブリックドメイン)

NHK広島放送局が8月24日、「ひろしまタイムライン」について、「配慮が不十分だった」などとおわびする文章をホームページに掲載しました。

「ひろしまタイムライン」は「もし75年前にSNSがあったら」という設定で、実在の被爆者のトピックスを開く被爆者が残した日記や手記などをもとに若者らがツイッターで投稿を続ける企画です。

広告

「ひろしまタイムライン」NHKが謝罪

企画では、75年前の中学1年生の手記などをもとに、駅での混乱の様子について「朝鮮人だ!! 大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる!」などと投稿。「差別を助長している」といった批判が上がっていた。(朝日新聞)

 

「俺たちは戦勝国民だ!敗戦国は出て行け!」

一部の人たちが批判しているいるのは次のツイートなどです。

当時、中学1年生の少年が、「もし75年前にSNSがあったら」という設定で、広島から埼玉県の秩父まで移動する8月20日にツイートされています。

 

戦後のこうした「俺たちは戦勝国民だ」という話は、1945年12月29日に3人組が列車の窓ガラスを叩き割り無理やり乗車しようとし、それを阻んだ乗客にパイプやスコップ等で集団暴行し殺害した「直江津リンチ殺人事件」などにも見られ、当時の混乱した時代に起こったありのままの風景です。

こうした伝承を「差別を助長する」という理由で消し去ろうとするのであれば、それは歴史修正主義で許されないことです。

 

差別を助長したと認めて謝罪したわけではない

朝日新聞は「NHKが謝罪 差別助長と批判」というタイトルにしています。

しかし、NHKのHPを見ると、差別を助長したと認めて謝罪しているわけではないようです。

「プロジェクトに参加している高校生など関係者のみなさん」に、ご迷惑をおかけしたと謝罪しているだけのようです。

 また、手記を提供してくれた方が、1945年当時に抱いた思いを、現在も持っているかのような誤解を生み、プロジェクトに参加している高校生など関係者のみなさんにも、ご迷惑をおかけしたことをおわびいたします。

「1945ひろしまタイムライン」は、戦後75年がたち、戦争や原爆の記憶が薄れつつあるなか、若い世代に関心を持ってもらうため、身近なメディアであるSNSと放送を連動させた企画として発足したプロジェクトです。被爆された広島の人々の日記や手記を元にし、SNSで発信することによって、当時の混乱した状況を追体験し、戦争や原爆について、リアリティをもって考えていただく取り組みです。

「1945ひろしまタイムライン」のツイートはすべて、NHK広島放送局の責任で行っています。今後は、被爆体験の継承というプロジェクト本来の目的を的確に果たしていくため、必要に応じて注釈をつける、出典を明らかにするなどの対応を取り、配慮に欠けたり、誤解が生じたりすることがないように努めます。

(NHK)

 

Twitterは切り取られやすい

それでは、どこに問題があったのでしょうか?

 

「もし75年前にSNSがあったら」は、現在の人たちに当時の状況をリアルに伝える試みとして、おもしろい企画です。

ですが、企画が先にありきで、TwitterというSNSの特性を十分に理解せずに投稿してしまった面があります。

Twitterは、ひとつひとつのツイートが別々に拡散されていくので、切り取られやすいのです。

きちんと文章を読む人ばかりではない、ということに注意するべきだったということはいえるでしょう。

 

広告

シュンくんたちの乗った列車が特定される

Twitterでリアルタイムに当時の状況をツイートすることで、思わぬ副産物がありました。

この中学1年生の家族が乗った列車を、タイムラインと当時の時刻表を元に特定された方がいたのです。

 

戦争末期の呉線の時刻表

 

1945年8月18日にシュンくん一家は廣島駅を出発し、呉駅で野宿、翌19日に大阪行きに乗ります。

その列車は廣島10時57分です。

つまり、シュンくん一家は18日ではなく、最初から19日10時57分発の列車に廣島駅から乗車すればよかったという指摘です。

とても興味深い話です。

 

こうした分析が生まれることは、Twitterで発信した「もし75年前にSNSがあったら」の大きな成果といえるでしょうね。



広告