台風19号被害 「八ツ場ダム」の効果を否定するブログに一言いいたい

完成真近の八ッ場ダム、令和元年8月4日撮影、八ッ場ダム展望台で 桜井明弘さん撮影 )

台風19号の被害は、2019年10月14日14時現在で、42人死亡、15人行方不明、198人けが、にのぼっています。

死亡したのは、NHKニュースによれば、
▽福島県で13人、
▽宮城県で8人、
▽神奈川県で5人、
▽栃木県、群馬県で4人、
▽埼玉県と静岡県で2人、
▽岩手県、長野県、茨城県、千葉県で1人です。

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江東5区が浸水の可能性で避難勧告

ハザードマップによれば、荒川・江戸川の氾濫や、高潮が発生した場合について、東京東部低地帯に位置する江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)でも、ほとんどの地域が浸水するとしています。12日には大規模水害によって浸水する可能性があり避難勧告が出されました。

一時はどうなることかと心配されましたが、江東5区に限って言えば、それほどの浸水被害もなく台風19号は通過して、ほっとひと安心というところです。

 

「八ツ場ダム」がトレンドに

10月1日に貯水試験を始めた八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の水位が、台風19号による大雨で急上昇、周辺では11日未明から13日朝までに累計347ミリの雨が降り、山間部から流れ込んだ水でダム湖の水位は約54メートルも上昇しました。

「八ツ場ダム」という忘れられていた話題が急浮上したので、バズったのでしょう。ツイッターで、八ツ場ダムがトレンドになりました。

次のツイートなどは3万以上のリツイート、7万近くのいいねが付いています。

 

これに対して、八ッ場ダム反対派の人と思われるブログで、八ッ場ダムの効果を否定するかのような記事が書かれています。

この八ッ場ダム反対派の記事を「色々な施設のおかげで助かった」というツイートにリプライとして付けて「間違いなら訂正すべきでは?」としている人もいます。

このブログの内容は、

「八斗島と栗橋の水位変化(以下の図参照)を見ると、今回の洪水で利根川の水位が計画高水位(注)に近づきましたが、利根川本川は堤防の余裕高が2メートルあって、計画堤防高にはまだ十分な余裕がありました。
したがって、今回の台風では、八ッ場ダムの洪水貯留がなく、水位が多少上がったとしても、利根川が氾濫することは考えられませんでした。(台風19号、利根川における八ッ場ダムの洪水調節効果)

として、八ッ場ダムの治水効果はそれほど大きなものではない、と主張するものです。

立憲民主党の議員さんも、このブログを拡散しています。



余裕高とは?

「余裕高が2メートルあるから、余裕があった」とブログには書かれていますが、大阪府都市整備部の「余裕高」の解説を読むと、「余裕高」はそのように解釈するものではないように思います。

余裕高の取り扱いについて 大阪府都市整備部(PDF)

洪水はおだやかに流れるのではなく、激しい波やうねり、一時的な水位上昇、流木、高潮、強風などの影響を受けるわけで、そののりしろとして余裕高を確保しているのですから、「余裕高」をあてにして考えているのには違和感を感じます。

 

利根川が氾濫しなかったとしても、水位が上がれば浸水する

利根川下流で水位が上昇して、住宅や農地で浸水したというNHKニュースがあります。

利根川の水位が上昇すると、支流の水が利根川に流れ込むことができなくなって、ボトルネックのようになって、逆流してしまうようです。

川は氾濫しなくても、浸水するのです。



洪水対策は、できることをぜんぶやる

仮に、八ッ場ダムの効果が下流では20センチ程度であったとしても、何かしらの被害を防いだ可能性が高いと考えるべきではないでしょうか。

事故が起こらなかったから予防は無駄だった、と考えるのはおかしなことです。

洪水や浸水は起こってしまったら甚大な被害がでてしまいます。洪水対策は、できることをぜんぶやる、という考えに立つべきです。

「色々な施設のおかげで助かった」というツイートは間違いでもなんでもないと思います。

 



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