薬局はいらない、薬局・薬剤師などは廃止できる??

5月1日、2日と連続して、井上晃宏さんが「薬局はいらない」「処方せんを廃止すれば、薬局・薬剤師などは廃止できる」という記事をアゴラに投稿されています。

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「薬局はいらない」

この記事に対するツイッターの反応は、記事に批判的なものが多いです。

井上晃宏さんは、薬剤師になった後に医学部に入学し直したという経歴をお持ちのようで、こうした持論の記事が多いようです。

先日、家庭に往診して、処方箋を交付し、「これを薬局に持っていって、医薬品を買ってください」と言ったが、家族は何のことだかわからないようだった。(薬局はいらない)

というエピソードを元に、「処方箋医薬品も、ネット販売を認めるべきだ。」という結論の記事です。

記事で気になるのは、「医薬分業制度は、コストを削減するものでもなければ、医療水準を上げるものでもない。」と断定されている部分。

これに対して、医薬分業制度による疑義照会は医療費節減効果があるという別の調査結果もあります。

「疑義照会」とは、薬剤師法 第24条「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。」によるもの。

平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書(PDF)

によると、

東京理科大学薬学部鹿村研究室では、平成25年7月に「平成25年度全国薬局疑義照会調査」を実施した。その結果では、疑義照会を行った処方せん枚数ベースの疑義照会率は2.75%であり、薬学的疑義照会による処方変更率は76.47%であった。また、研究結果から、全国の薬局薬剤師が行う疑義照会による年間の薬剤費変化を推定すると8,234,513,291.7円(95%信頼区間:5,548,379,833.4 ~10,922,292,665.1円)の医療費節減となっていることが判明

とあります。

調査結果による推定値ではありますが、薬剤師の疑義照会により、医療費節減効果があるという結論になっています。

平成27年度全国薬局疑義照会調査報告書より



「処方せんを廃止すれば、薬局・薬剤師などは廃止できる」

続けて「処方せんを廃止すれば、薬局・薬剤師などは廃止できる」という記事。

この記事は、「疑義照会」に対する反論の内容です。

Amazonなどの通販サイトでは、厳格なフォームに入力させるので、チェックは素人でもできる。

医師が処方入力を間違えても、大半は機械で訂正できるだろう。むしろ、人が訂正するよりも機械で訂正する方が、よほど確実で間違いが少ない。(処方せんを廃止すれば、薬局・薬剤師などは廃止できる)

として、「通販サイトで、医師が直接、医薬品宅配注文」をすれば、「薬剤師の技能も不要となり、薬剤師を養成する薬科大学も不要となる。」という結論となっています。

通販サイトの活用で「疑義照会」が、不要になるという極論のようにも読み取れます。

薬剤師の技能が十分に活かせていないのは、医師の機嫌をうかがわないと薬局の経営が危うくなるという、医師と薬剤師の力関係の方にも問題があるようにも思えます。

どちらの記事も、処方箋の必要な医薬品も、Amazonなどのネット通販サイトで販売させるべきだという意見のように読めます。

個人的には、なんでもかんでもAmazonなど数社のネット通販サイトの寡占状態になってしまい、街の小売店がなくなってしまうことの方が、弊害が多いような気がします。



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