新潮45を読んで驚いた「杉田水脈議員を批判している人は、ぜったい本を購入して読んでない!」
批判するのなら、本を購入して、読んでから批判すべきです。該当の記事だけではなく、雑誌全体を手に取って読んでみることをおすすめします。
なぜなら、杉田水脈さんの記事は、「朝日新聞批判」という特集の中の、ひとつのパーツに過ぎないからです。
こちらは楽天です。現在、アマゾンでは、プレミアムがついて高値になっています。
◆◆新潮45 / 2018年8月号
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いつもの朝日新聞の手法
新潮45の2018年8月号に掲載された、杉田水脈 衆院議員の記事が、炎上しています。
何はともあれ、この雑誌を実際に読んでみないとなんとも言えませんので、とりあえず入手して、読んでみました。
読んでみて、今回の炎上騒動にとても違和感を感じました。
個人的には、火のないところに火をつけて炎上させる、いつもの朝日新聞の手法ではないかとの、感想を持ちました。
「テーマ」を無視している
そもそも、杉田水脈さんの記事は、『日本を不幸にする「朝日新聞」』がテーマです。
『日本を不幸にする「朝日新聞」』…偏向した報道と朝日ブランドを全面に押し出した数々の商売に異議あり。
という特集の中で、
- 間違いだらけの「台湾」情勢 林彦宏
- 「安倍嫌い」女性編集委員のダメな日本語 古谷経衡
- 不公平な受験を生む「天声人語」商売 八幡和郎
- 読者誘って「婚活ビジネス」か 大江舜
- もう止めるべきだろう「夏の甲子園」 小林信也
- 「LGBT」支援の度が過ぎる 杉田水脈
と6人の論客が、朝日新聞の偏向報道を次々に批判しています。その6人の最後が、杉田水脈さんです。
これを、朝日新聞は、「朝日新聞への批判」がテーマであることを書かずに、
子供を作らない、つまり「生産性」がない、の杉田水脈さんの記事の一部分だけを切り取って批判記事にしています。
同性カップルは「生産性なし」 杉田水脈氏の寄稿に批判:朝日新聞デジタル https://t.co/d0Y4Z4MuK5
記事を書いた人の他の記事も見てみましょう。外国人と同性婚と朝日新聞の二階堂友紀 https://t.co/x84YIFT6Om
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) 2018年7月24日
杉田水脈さんの記事は、まさにこの朝日新聞の二階堂友紀記者の一連の「LGBT」記事への批判といえるものです。
それなのに、そこを隠して、朝日新聞は、またもや「LGBT」支援の偏向記事に仕立て上げています。
不妊治療という例の中で税金の使い方を論じている
炎上しているのは、杉田水脈さんの記事のこの部分です。
例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要項を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。(新潮45 8月号 p.58)
税金の使い方として、例えば、「子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療」に税金を使うのは「少子化対策」という大義名分がありますが、LGBTのカップルは子供を作らないので「少子化対策」というような大義名分がないので国民の賛同が得られにくい、といっています。
(個人的には「B=バイセクシャルの人は、結婚して子供を作るのではないか」と思いますが…)
それにもかかわらず、LGBTに関する要綱などを行政が発表するたびに、「朝日新聞」などのマスコミがもてはやすので、政治家が人気取りになると勘違いするといっています。
つまり、この文章のキモは「朝日新聞」の批判です。
誰を切り捨てるとか、差別するとか、そんなことは書かれていません。
多くの人が賛同するような「大義名分」がないのに、「朝日新聞」が報道しすぎるから政治家が人気取りに利用する、と書かれているのです。
今回のように朝日新聞が切り取り偏向報道で、杉田水脈さんを批判すると、その論調に同調してしまう政治家も批判しているわけです。
生産(しょうさん/しょうざん)とは、「出産」のこと
杉田水脈さんへの批判の中に「子供を生むことに生産性という言葉を使ったのが不謹慎」というものがあります。
朝日新聞や一部野党は、まさにここの部分だけを切り取って、攻撃しています。
とても違和感のある光景です。
そもそも「生産」とは「出産」のことです。
「子供を生むこと」を「生産」と書いてはいけないのでしょうか。
鎌倉中期から後期の軍記物語『源平盛衰記』(げんぺいせいすいき/げんぺいじょうすいき)には、次のような文章があります。
凡供養の日、奇特の事共多くありける内に、王城に童子あり、生産より成人に至るまで終に物云事なし。
この場合の「生産」とは、まさに「子供を産むこと。生まれること。出産」のことです。
杉田水脈さんの使用した「生産性」は、「せいさんせい」ではなくて、「しょうさんせい」と読むのが正しいのではないかと思います。
三省堂 大辞林にも次のように書かれています。
しょうさん【生産】
( 名 ) スル
① 子供を産むこと。また、生まれること。出産。
「 -より成人に至るまで終に物云ふ事なし/盛衰記 24」② 生活のために働くこと。
せいさん【生産】
( 名 ) スル
① 生活に必要な品物を作り出すこと。 「電気部品を-する」 「大量-」
② 財貨を生み出す各種経済活動の総称。 → 国民総生産
③ 生活。家業。なりわい。 「其-の難きは農民に異ならず/文明論之概略 諭吉」
④ 生まれること。生まれ。 「此国に-せし民人は/日本風景論 重昂」 〔漢籍では多く「出産する」意で使われる。福沢諭吉門下の松田晋斎が英語 production の訳語として、「史記」の「生産(生活のための仕事)」に求めた可能性が高い〕
少なくとも鎌倉時代から、子供を生むことは「生産」と書かれているのですから、そこに「性」を付けて
“彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。”
としても、日本語として成立するのではないでしょうか。この文章は単純に言い換えでしかないわけです。
辞書を引けば、これが差別表現でも何でもないことがわかります。不謹慎でもなんでもない古来からの日本語表現であると言えます。
個人的には、「生産」は「出産」の意味が先で、後から「モノ」を作る意味になっていったのではないかと推測しています。発想が逆です。
杉田水脈さんが、自覚していたかどうかは不明ですが、古来からの日本の伝統に造詣が深いと思われる杉田水脈さんの語彙では、「出産」という意味で「生産」を選択したのでしょう。
つまり使用したのは経済活動としての「生産(せいさん)」ではなく、こちらの日本古来の「生産(しょうさん)」=「出産」の用法の方なのでしょう。
この辺の語彙のチョイスは、個人の感性ですから、極端な話、旧仮名遣いを使おうが、それは勝手です。
いったい何が問題なんでしょうか?
この部分の表現だけを切り取って、何も知らない人たちを扇動して、ナチズムだ、優生思想だのなんだのと、揚げ足を取る方が馬鹿げています。
そうした人たちこそ、日本語能力に問題があるのではないでしょうか。
杉田水脈さんを指して「生産性のない人間は不必要」と考える異常思想だ、とまで、いう人がいます。
異常思想なのは、「不必要」などと、記事のどこにも書いていない内容を付け加えて曲解できる偏向能力の方ではないでしょうか。
「朝日新聞批判」の全体の構成は
「LGBT」支援の度が過ぎる、の「朝日新聞批判」の全体の構成は次のようなものです。
- 「LGBT」の報道は過去1年間で朝日新聞が一番多い。
- キリスト教社会やイスラム教社会と違って、日本は寛容な社会でLGBT差別など存在しなかった。
- 欧米と日本では社会構造が違うのに、欧米に見習えと、なぜマスメディアは言うのか。
- 日本でのLGBTの生きづらさは、社会的な差別ではなく、親が理解しないこと。
- LGBTの生きづらさは、社会制度の問題ではなく、自分の力で乗り越える教育が必要。
- 少子化対策のような大義名目があれば税金の投入に賛同が得られるが、LGBTにはそれがない。
- にもかかわらず、マスコミが持ち上げるから、政治家が勘違いする。
- LGBTのTは障害なので、一緒にするのはおかしい。
- Tは、医療保険などを考慮すべき。
- LGBは、性的指向の話。
- 多様性を受け入れて、様々な性的指向も認めよということになると、歯止めが効かなくなるのではないか。
- 「LGBT」を持ち上げる朝日新聞の報道は、こうした傾向を助長させる。
朝日新聞は、この6の部分だけを切り取って、火をつけているのです。
朝日新聞の手法が批判されている記事を切り取って、朝日新聞の手法で炎上させるという、わけのわからない展開になっているのではないか、というのが、今回の騒動への個人的な感想です。