都市伝説的陰謀論に逃げ込むMBSドキュメンタリー 斉加尚代さんの主張「2分に1回リツイートしたらボット」

2018年12月16日の25時05分から放送された話題の斉加尚代ディレクターのMBSドキュメンタリー「映像‘18 バッシング ~その発信源の背後に何が~」についての2本目の記事です。

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ツイッター事情をまったく知らずに公共の電波で陰謀論を流すドキュメンタリー

SNSで流されている根拠のない都市伝説に「自民党からお金をもらっている下請け業者のプロ工作員がいる。一人の工作員が何十ものアカウントを持っていて、安倍&麻生の擁護、野党&朝日の攻撃をしている」というものがあります。

この言説の発生源は、ランサーズなどのクラウドソーシングに、アフィリエイターがお金を支払って記事作成を外注している案件を、「記事の外注」を知らない人が自民党の工作と勘違いしたところから起こったものと思われます。

この主張は、いまだ証明されたことがない、いわばSNSの都市伝説のようなものです。

陰謀論のツイート例 モザイク加工は管理人による

斉加尚代ディレクターの陰謀論

斉加尚代ディレクターのMBSドキュメンタリー「映像‘18 バッシング ~その発信源の背後に何が~」では、結末にこのSNSでの都市伝説を利用した陰謀論を展開しています。

MBSドキュメンタリーの最後に流れるコメントは次のようなものです。

当番組は放送前 ネット上で一部の人々から標的にされた

先月末から6日間 取材者を名指しするツイートの数は5000件を超えた

その発信源を調べると ランダムな文字列のアカウント つまり「使い捨て」の疑いが一般的な状況に比べ3倍以上も存在した

およそ2分に1回ひたすらリツイート投稿するアカウントも複数存在した

取材者を攻撃する発言数が最も多かったのは 「bot」(自動拡散ソフト)の使用が強く疑われる

つまり限られた人物による大量の拡散と思われる (MBSドキュメンタリー映像‘18)

MBSドキュメンタリーでは、

  • ランダムな文字列のアカウント つまり「使い捨て」の疑い
  • およそ2分に1回ひたすらリツイート投稿するアカウントも複数存在

この2つを根拠に、プロ工作員がいると主張して結論としているわけです。



この2つの主張のうち、「ランダムな文字列のアカウント つまり「使い捨て」の疑い」という斉加尚代さんの主張には根拠がないことを前回の記事で指摘しました。

https://twi55.com/twitter20181217/

今回の記事では、残りのひとつ、「およそ2分に1回ひたすらリツイート投稿するアカウントも複数存在した」についても、触れておきたいと思います。

「2分に1回ひたすらリツイート投稿」とは何なのか?

MBSドキュメンタリーの特徴のひとつに、「根拠となるソースが提示されていない」ことがあります。

断定的に語っておきながら、視聴者がその検証をできないようにしているわけです。

「2分に1回ひたすらリツイート投稿」というのも、

「24時間365日ずっと2分間隔でリツイート投稿」をしているのか、「2分間隔でリツイート投稿している時間帯がある」のか、どちらなのかすらはっきりしません。

前者であるのならボットという理解でいいでしょうが、後者であるのならボットというのは無理があります。

リツイートというのは、ツイッター特有の機能で、自分がフォローまたはリストしているタイムラインに流れてきた他の人の投稿を、賛同した場合に自分のフォロワーにワンクリックでシェアする操作です。

証明もできないものを結論に持ってくる、ずさんなドキュメンタリー番組

「2分に1回ひたすらリツイート投稿」と「投稿」という単語が付けられているので錯覚してしまいますが、リツイートは文字を打つわけではありません、ワンクリックでできてしまいますので、やろうと思えば2分も必要ありません数十秒間隔でも可能です。

過去に似たような事例では、ツイッター上で「リツイート爆撃」「ツイート爆撃」という操作を面白半分に行っているアカウントはありました。

これはプログラミング知識のあるユーザーが、複数アカウントを作成して、面白半分に複数アカウントで瞬時に同時リツイート、または同時投稿をするものです。

ひとつのアカウントがたくさんリツイートするものとは違います。

一時期、流行しましたが、現在ではツイッター側の規制が厳しくなり、そのほとんどのアカウントが凍結されています。

 

リツイートした時間はツイッター公式アプリでは表示されません。
元のツイートの投稿時間が表示されるだけです。
TwitterAPIにはリツイート時間はあるようですが、斉加尚代さんは本当にリツイートした時間を計測したのでしょうか?

 

このようにMBSドキュメンタリー「映像‘18 バッシング ~その発信源の背後に何が~」の結末の陰謀論は、番組内ではまったく証明できていないのです。

個人的な感想としては、証明もできないものを結論に持ってくる、ずさんなドキュメンタリー番組だという印象です。



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