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「杉田水脈がLGBTの子どもの自殺率が6倍高いと言って笑っている」に悪意あり

time 2018/07/31

「杉田水脈がLGBTの子どもの自殺率が6倍高いと言って笑っている」に悪意あり
この記事の所要時間: 528

画像は、アルジャジーラ

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切り取りにミスリードを重ねる攻撃者

「杉田議員は過去の動画で『性的マイノリティーの自殺率は6倍』ということを笑いながら言っていた」というツイートが回っています。

この動画の11分過ぎ。

杉田水脈「同性愛の子どもは、普通に正常に恋愛できる子どもに比べて、自殺率が6倍高いんだと、それでもあなたは(LGBT学校教育)が必要ないと言うんですかといわれまして。私はそれでも優先順位は低いし、同じですよね。学校の先生は今、モンスターペアレントだとか学級崩壊だとか、やらなくちゃいけないこといっぱいあるのに、こういうことやってる時間はきっとないでしょうし。あと、どれだけ正しい知識を先生が子どもたちに教えられるんですか、と。誤った知識を教えてしまったら、おかしいじゃないですか、と。」

この動画の一部を切り取り、「杉田水脈が同性愛の子どもの自殺率が6倍高いということを笑って話している」という言説を、広めようとしている人がいるようです。

この話には、いくつかのミスリードがあるようですので、正しい話を整理してみます。

 

正しくは男性の「異性愛でない人」の「自殺未遂率」が5.98倍

「同性愛の子どもは、普通に正常に恋愛できる子どもに比べて、自殺率が6倍高い」と杉田水脈さんが話していますが、これはおそらく、テレビの討論番組の担当者か杉田水脈さんの勘違いです。

元ネタは朝日新聞2008年10月29日の朝刊の記事です。

データは、「自殺率」ではなくて、「自殺未遂率」です。

「LGBTの子はストレートの子に比べて自殺率が6倍なんだって」と日本の国会議員が笑っている、という話はフェイクです。

「自殺率」と「自殺未遂率」は、まったく違うものですから、注意して下さい。

この朝日新聞の記事では、男性のいじめ被害に遭った人の自殺未遂率、薬物を使用した経験のある人の自殺未遂率は書かれていますが、「異性愛でない人」の自殺未遂率は書かれていません。

「異性愛でない人」の自殺未遂率は、こちらのHP「わが国における若者の自殺未遂経験割合とその関連要因に関する研究(大阪の繁華街での街頭調査の結果から)」に書かれています。

 

自殺未遂経験者は「異性愛者」の方が、はるかに多い

そのHP「わが国における若者の自殺未遂経験割合とその関連要因に関する研究(大阪の繁華街での街頭調査の結果から)」に書かれているデータによれば、

男性の異性愛者986人中、自殺未遂者は46人(4.7%)

男性の同性愛者/両性愛者/その他49人中、自殺未遂者は12人(24.5%)

で、男性の「同性愛者/両性愛者」の自殺未遂率が、「異性愛者」の自殺未遂率の5.98倍(約6倍)になるとしています。

5.98倍といっても、「同性愛者/両性愛者」は、自殺未遂経験者わずか12人のデータです。

一方、「異性愛者」は、率にすると低いですが、実数としては46人で、「異性愛者」の自殺未遂経験者の方が圧倒的に数が多いことがわかります。

どちらも自殺未遂の対策は必要ですよね。約6倍だから、LGBTの子どもの自殺対策のみが必要というのは、おかしな話です。

 

女性のデータでは、

女性の異性愛者1031人中、自殺未遂者は115人(11.2%)

女性の同性愛者/両性愛者/その他29人中、自殺未遂者は6人(20.7%)

となっていて、女性は、男性の「同性愛者/両性愛者」の自殺未遂率のような開きはありません。

女性の「異性愛者」の自殺未遂者数は115人と、男性の倍以上になっています。

男性も女性も、自殺未遂経験者は「異性愛者」の方が、はるかに多いのです。ミスリードもいいとこです。

 

北九州市の いのちとこころの情報サイトでは、自殺未遂者の約9割以上に何らかの精神障害がある、としています。精神障害をICD-10というWHOの分類にしたがってみてみると、さまざまな精神障害が含まれるのだそうです。

思春期には、さまざまな自殺未遂要因があり、原因はさまざまです。

自殺未遂経験者には、それぞれの精神障害に対して専門医療機関での治療が必要になります。精神症状のコントロールを図ることで、将来の自殺企図を防ぐことができます。自殺行動に及んで、自殺未遂者と判断された場合には基本的に精神科的治療が必要です。

「同性愛者/両性愛者」であることは、自殺未遂のリスク要因のひとつでしかありません。

この場合に必要なのは、「同性愛者/両性愛者」がリスク要因であることを知っているカウンセラーなり精神科医が、担当すべきだということです。

 

男性の「同性愛者/両性愛者」のデータだけに過剰に反応

実数としては「異性愛者」の方がはるかに多いのに、男性の「同性愛者/両性愛者」12人のデータのみで割合が高かったという結果をことさらに取り上げて、過剰に反応するのには違和感があります。

圧倒的に多い「異性愛者」の自殺未遂経験者を無視して、男性の「同性愛者/両性愛者」の自殺未遂率約6倍だけを取り上げていることに違和感があり、この動画ではそのギャップに出演者が思わず失笑してしまった場面なのではないか、と個人的には感じています。

 

しかも、男性の「同性愛者/両性愛者」の自殺未遂者が6倍高い、というデータは、大阪のアメリカ村という繁華街に遊びに来た若者だけのデータです。

あまり遊び歩かない若者は含まれず、これを全国の若者のデータと読み替えるには無理があります。

 

  • 「自殺率」と「自殺未遂率」の混同
  • LGBTよりも「異性愛者」の自殺未遂者(実数)の方が圧倒的に多いのにミスリード

以上の理由により、「杉田水脈がLGBTの子どもの自殺率が6倍高い」と言って笑っている、というデマまがいの情報を拡散している人たちには、「悪意」、何か別な目的が感じられるのです。

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コメント

  • こんにちは。記事を読ませていただきました。
    動画内で触れられていた統計データの出典が分かり感謝しています。

    確かに、異性愛者の方が自殺未遂者数が多いですね。しかし、これは当然のことで、データが伝えたいことは別の点にあるのではないでしょうか。
    まず、異性愛者の方が圧倒的に同性愛者よりも数が多いことを考慮する必要があります。
    記事内のリンク先にある街頭調査に関する統計的データは、自殺未遂に至るのに異性愛者か同性愛者かの違いがどれだけ影響をするかを検証しています。そして、同性愛者が5.98倍自殺未遂に至りやすいという結果が得られたという意味です。カイ二乗検定はこの結果が偶然によるものとは考えにくいということを統計的に補強するものです。
    統計的検定では元となるデータが少ない場合は偶然による偏りであるという結果を誘導しやすくなりますので、データが少ないことを理由に調査が間違いであると断ずるのは難しいです。
    つまり、同性愛者を自殺に追い込みやすい状況があることを示唆しています。

    また、“ギャップに出演者が思わず失笑”と述べられていますが、杉田さんがこの話を持ち出した際に、どの調査に基づく話であるかを触れていないですね。
    この文脈で出演者らがギャップがあると感じる判断材料(つまり正しい統計データ)を持っているとは考えにくいのではないでしょうか。

    あなたと同じく私も自殺する方が少しでも減ることを願っています。そのためには原因を追究して対処することが大事ですね。その点で教育によってLGBTに対する差別や偏見を取り除くことは有効な手段となるのではないでしょうか。

    by 通りすがり €2018年7月31日 5:29 PM

  • ミスリード云々、どっちが自殺率が高いかではなく、
    自殺の話を笑って言えることがおかしい、と思いますが。

    by やす €2018年11月25日 4:52 PM

  • ちょっと気になったのですが、

    >男性も女性も、自殺未遂経験者は「異性愛者」の方が、はるかに多いのです。ミスリードもいいとこです。

    これ、各データの母数全然違うのに数で語ってるのなんでですか?
    例えば男性の話において、記事で取り上げられているこの部分

    >男性の異性愛者986人中、自殺未遂者は46人(4.7%)

    男性の同性愛者/両性愛者/その他49人中、自殺未遂者は12人(24.5%)

    母数が20倍ぐらい違うのに自殺未遂者の46と12という数字を比較して46の方が多いっていうのは間違ってませんか?

    これのほうがミスリードなのでは?

    by ひめじ €2019年5月12日 6:38 PM

    • 自殺未遂対策はどちらも重要ですが、割合ではなくて、実数が多い方も大切という視点です。交通事故対策でも、交通事故が稀な交通利用が少なくて事故割合が高い交差点より、交通事故が多い交通量が多い交差点の方が割合が低くても対策を優先すべき。ことさら割合だけを強調するのは変だと思います。

      by ikaryakuchan €2019年5月13日 5:04 AM

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