【切り取り】「女性天皇」の質問を隠して「印象操作」する女性自身の記事…女性自身の記事が隠した2つの重要事項

女性自身が7月4日に「【安倍首相が「印象操作」と揶揄するも「どこが?」と疑問の声】」という記事を投稿しました。

この記事の問題点について、ファクトチェックのようなことをしてみたいと思います。

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安倍総理が「印象操作」と発言した経緯を隠して伝えない女性自身

個人的には、ひどい切り取りの印象操作記事だと思いました。安倍総理が「印象操作」と発言した経緯にいたる重要な部分を隠して書いていない記事だからです。

 

記事魚拓

安倍晋三首相(64)が7月3日、日本記者クラブ主催の党首討論会に登場。挙手で回答する質問に返答した直後「印象操作だ」という趣旨の発言をした。Twitterでは「印象操作」がトレンド入りするほどの話題となり、「どこが印象操作なのか」と疑問の声が上がっている。
今回の党首討論会には安倍首相のほかに公明党・山口那津男氏(66)や立憲民主党・枝野幸男氏(55)など7名の党首が参加した。そのなかで登壇者が質問に“イエスかノーか”を挙手で示す場面があった。
安倍首相は「原発の新増設を認めない」「選択的夫婦別姓を認める」の2項目で7名中ただ1人、手を挙げなかった。また「LGBTなど性的少数者への法的権利を認める」という問いについて、挙手しないのは安倍首相と山口氏の2人だけだった。
すると「単純化してショーみたいにするの、やめたほうがいいですよ」と安倍首相は話し、さらにこう持論を展開した。
 (女性自身)

 

女性自身の記事では、「原発の新増設を認めない」「選択的夫婦別姓を認める」「LGBTなど性的少数者への法的権利を認める」という3つ質問で、安倍総理が手を挙げられなかったので、安倍総理が追い込まれて「印象操作だ」と言い出したかのように書かれています。

 

タイトルで、「揶揄」と決めつけているのがそもそも印象操作ですが、それよりなにより、この記事は事実を正確に書いていません。

重要な部分を書かずに隠しています。

 

二択質問は、女性自身が書いている3つではなく、4つ

女性自身のこの記事は、この時に起こった2つの重要なやりとりを、「報道しない自由」を行使して読者に伝えていません。

 

ここで女性自身が記事にしている「印象操作」という安倍総理の指摘は、朝日新聞の坪井ゆづるさんの質問に対して発せられたものです。

朝日新聞の坪井ゆづるさんの “イエスかノーか” 挙手を求める二択質問は、女性自身が書いている3つではなく、4つありました。

「女性天皇に賛成か?」「原発新増設反対か?」「選択的夫婦別姓賛成か?」「LGBTの法的権利を認めるか?」の4つです。

女性自身の記事が書いていない安倍総理と朝日新聞の坪井ゆづるさんとの2つの重要なやりとりについて説明します。



「男女共同参画」に絡めて「女性天皇に賛成か?」と質問した朝日新聞

まず別の女性記者から「政治分野における男女共同参画推進法」についての質問が安倍総理にあり、安倍総理が「(女性議員の比率は)自民党は衆参両院で10%、参議院では16%」「まだまだ少ない、努力不足」と回答します。

すると、朝日新聞の坪井ゆづるさんが「女性つながりというわけではないんですが、天皇制と女性の問題を皆さんにいっせいにお聞きしますんで。女性天皇は認めてもよいとお考えの方は挙手をしてください」と、「女性天皇を認めるのか」という質問で “イエスかノーか” 挙手による二択で回答させようとします。

これは、かなり無茶苦茶な話で、「女性天皇」でも、「男系の女性天皇」は認めても、「女系の天皇」は絶対に認められないという議論があります。

それなのに「政治分野における男女共同参画推進法」に絡めて、「女性天皇は認めるか?」と二択で質問することは、「男系」「女系」の意味を知らない人たちに誤解を与える可能性があります。

男女平等に絡めて、二択で答えさせようとする朝日新聞の坪井ゆづるさんに対して、「違和感」を持った安倍総理が「二択質問」に対して反論を始めます。

これが、そもそもの発端です。

なぜか、女性自身の記事では、この部分を書いていません。

 

「党内で議論中は手を挙げない」というルール

上の動画で、繰り返し編集になっている部分があります。

安倍総理(自民党)が「大事な問題なので、挙手どうかということではなくて、私自身がこれ答えられる、いま答えるということではなくて、党として決めていかなければいけない問題で、今議論中ですし……」と答えると、

坪井ゆづるさん(朝日新聞)が「はい。その場合は手を挙げなければ結構です」と答えているシーンです。

意見がいろいろあって議論中の場合は、手を挙げないでいい、というのが質問者の朝日新聞の坪井ゆづるさんの最初の二択ルールです。

 

そもそもの前提が「そのテーマについて党内で議論中の場合は挙手しない」。つまり、「挙手しない」=「反対」ではない、だったのです。

議員の少ない野党と違って、自民党にはさまざまな意見の人がいますから、議論中のテーマは “イエスかノーか” で即答できるものではないのでしょう。

 

 

それなのに、坪井ゆづるさんが「原発新増設反対か」「夫婦別姓賛成か」「LGBTの法的権利を認めるか」というテーマについても、同様に二択で質問を続けました。

「手を挙げない」=「自民党は反対」というふうに切り取られそうな違和感を感じて、安倍総理が「印象操作の意図を感じる」と発言しています。

 

女性自身では、この「そのテーマについて党内で議論中の場合は挙手しない」というルールについても、記事に書かずに抜け落ちています。



ツイッターでバズった意見を無視する女性自身

女性自身は、

Twitterでは「印象操作」がトレンド入りするほどの話題となり、「どこが印象操作なのか」と疑問の声が上がっている。

とも、記事で書いています。

 

上の「朝日新聞の印象操作」を指摘した動画付きツイートは、記事を書いている現在、4887リツイート、8963いいね、とバズっています。

この「印象操作目当ての質問を仕掛けた朝日に総理が苦言」というツイートがバズって、ツイッターで話題になっていたのです。

 

にもかかわらず、女性自身では、

《この流れからなんで「印象操作」になるの? 挙手をしない理由をわかりやすく説明すればいいだけの話じゃないの?》
《意見に自信がないのか、恥ずかしいと思っているのか。印象操作だなんだって、なんか卑屈だな》
《印象操作も何も、事実やん。この人がpmでいる限り日本語までおかしくなる。こんなんでいいの?》

 

リツイート0 いいね1

 

リツイート0 いいね1

 

リツイート4 いいね2

という、ほとんどリツイートも付いていないような3本の意見だけを拾って、

「さらにTwitterでは「どこが印象操作なのか」と安倍首相の発言を疑問視する声が上がっている。」と記事にしています。

 

この女性自身の記事こそが、安倍総理が危惧した「印象操作」そのものです。



動画 別の女性記者の「政治分野における男女共同参画推進法」についての質問部分は、1時間57分08秒頃から

【ノーカット】党首討論会、日本記者クラブから

 

いつものことですが、他では、リテラも「安倍首相が党首討論で夫婦別姓とLGBTの権利保護に「NO」…しかも自分でNO表明したのに「印象操作だ」と逆ギレ!」という似たような記事を書いています。

毎日新聞もだそうです。

まとめ

  1. 朝日新聞の坪井ゆづるさんが、「政治分野における男女共同参画推進法」に絡めて、「女性天皇は認めるか?」と二択で質問した。
  2. 「そのテーマについて党内で議論中の場合は挙手しない」というルールだった。挙手をしないは「NO」ではない。
  3. この2つについて、女性自身は記事に書かなかった。
  4. 「Twitterでは「印象操作」がトレンド入りするほどの話題となり」と女性自身は書いているが、バズったのは「朝日新聞の印象操作」というツイートだった。



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