よくわかる「稲田大臣日報問題」…青山繁晴氏「日報問題」の核心に切り込む

画像:国連トンピン地区国内避難民(IDP) キャンプ排水整備。出典:防衛庁陸上自衛隊中央即応集団HP、国連南スーダンミッション(UNMISS)

広告

森友も加計も、日報問題も冤罪だ

南スーダンPKOの自衛隊「日報問題」のあらすじ

  1. 「日報」とは、南スーダンに派遣されている陸上自衛隊(中央即応集団)の施設部隊が、日々の活動状況を記録した文書のこと。
  2. 昨年の10月、ジャーナリストの男性が、自衛隊宿営地の近くで激しい銃撃戦のあった7月7日から12日までの日報の開示請求をしました。
  3. 防衛省は、現地部隊と司令部で日報を探しましたが、破棄されていて、12月初めに不開示を決定。
  4. ところが、自民党議員が再調査を求めた所、12月26日に日報の電子データが残っていることが判明。
  5. しかし、統合幕僚監部は稲田大臣にすぐに報告せず、大臣に報告したのは1ヶ月後の1月27日。日報を公表したのは2月7日でした。
  6. 遅れた理由は、年末年始と黒塗りにする作業のためとしています。
  7. その後、「廃棄した」とされていた日報が、南スーダン派遣とは別の陸自内にも電子データとして残っていたことがわかり、その対応を協議した2月13日と15日の省内の幹部会議に稲田大臣が出席していたことがリークされます。
  8. 幹部会議では、その事実を公表するかが協議され、陸自に残っていた電子データについて「隊員個人が収集したデータであり、陸自の公文書ではない」として公表しないことに決定。
  9. 野党は「稲田大臣が隠蔽を了承したのでは」と国会で追及します。
  10. 7月28日、日報問題で一連の経緯を調べてきた特別防衛監察の結果が発表されました。稲田大臣の関わりについては、「幹部から日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できないものの、書面による報告や非公表を了承した事実はなかった」と結論づけました。

 

青山繁晴さんの稲田防衛大臣の「日報問題」についての解説

青山繁晴さんが8月2日の山本一太の直滑降ストリーム@Cafestaで、稲田防衛大臣の「日報問題」について語っています。

【CafeSta】山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:青山繁晴参議院議員(2017.8.2)

【CafeSta】山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:青山繁晴参議院議員(2017.8.2)

山本一太「稲田大臣についてはいろいろ批判があって、私もさすがに防衛省と自衛隊を統制できなかったという所はあると思うんですけど、シビリアンコントロールがもっともきいていなければいけない防衛省と自衛隊からね、どんどんリークが出てきて、これによって大臣が追い詰められていくというのは、これけっこう大変なことだと思うんですが、そこら辺いかがですか?」

青山繁晴「予算委員会でも、僕、稲田大臣に、本来この日報問題というのは事実上、存在していないということを申し上げたんですけど。というのは、もう一回噛み砕いて言うとですね。日報、日々報告というのは、前線の部隊が、南スーダンの派遣の場合は中央即応集団という所に、つまり司令部に報告するものであって、これは国民に向けて報告するものではまったくないんですよ。

中央即応集団の編成 (出典:防衛省陸上自衛隊中央即応集団)

(※中央即応集団(ちゅうおうそくおうしゅうだん、CRF)は、陸上自衛隊における、防衛大臣直轄の機動運用部隊。日本の新防衛大綱に基づき、2007年3月28日に創設された。集団司令部を神奈川県相模原市の座間駐屯地に置く。国内で発生した事態に対しては各方面隊がまずは対応します、それでも対処しきれない大規模災害などの場合には中央即応連隊が増援部隊として派遣されます。しかし、海外派遣PKOに関しては真っ先に投入されます。海外の事態に対しては初動派遣部隊として位置づけられています

でしかも、自衛隊であれ、諸国の軍隊であれ、この軍事力、防衛力の世界というのは、指揮命令系統の動かし方がほとんどすべてなんです。

だって、装備とかは事実上バレバレなんですから。肝(きも)は指揮命令系統だけであって、指揮命令系統が出てくる日々報告というのを外に出すというのは、むしろ国家の安寧(あんねい)、国家安全保障にとって最悪の事態なんですよ。それが一点と。

二点目はですね。PKOで南スーダンに派遣された部隊は、陸上自衛隊、陸自の部隊ですが、陸幕が指揮、命令権を持ってないんですよ。これはあくまで統合幕僚監部なんです。だから、陸幕、関係ないんですよ。

で、その関係ある統幕、指揮命令系統持ってる統幕が、大臣と相談して、事務次官とも相談して、「これ日報だけど。本当は日報は公表してはいけないけど、黒塗りにするか」ということで公表したのが2月6日7日ですよね。

で、稲田大臣が最後、辞任に追い込まれる問題の会議というのは、その後の2月13日とか15日の会議で。しかも、陸上幕僚幹部の会議だから当事者じゃないんですよ。

(中略)

こないだあった国防部会で(僕が)言ったのは、そもそも日本がこうやって日報を公開するとなったら、実際僕が米軍から言われているんですけど、アメリカ軍は協力できないと、だってアメリカ軍がどう動いたか、日々報告で全部、この稲田大臣辞めた後は、世の中に出すのかと、それ自体がおかしいし。

そうしたら防衛省の答えが、「黒塗りで出せば」と。

黒塗りで出したら国民は、公開されてるとは思いませんから。むしろ情報公開法を滅茶苦茶にしちゃうわけですよ。

だから、やってることが政と官、どころじゃなくて基本的なことがわかっていない。指揮命令系統がどこにあるのか、わかってないし。

それからこの国防部会で改めて(僕は)わかっていたけれど、僭越ですけれど他の議員が理解していただくために、あえて防衛省に訊いたのは。

「統幕が2月6日7日に発表した日報と、陸幕で後から出てきた日報とは、同じものですか、違うものですか?」と言ったら、防衛省から「同じものです」という答えがちゃんとあったわけですよ。

じゃあ、陸幕にあろうがなかろうが関係ないじゃないですか。

だから、政官の関係以前に、加計とか森友。森友は申し訳ないけど学園のトップの方々の個人犯罪ですよね、公金詐取の。いまは捜査の途中ですから疑いと言っておきますけれども。

しかし森友も加計も、日報問題も、何とこの大事な通常国会、閉会中審査もほとんど冤罪の話で時間を費やしたわけですよ。

この典型がこの日報問題ですよ。

陸上自衛隊の幕僚たちと僕は個人的に議員になる前から話していますけれど、みんなそれでショックを受けているわけですよ」

山本一太「どう考えても、今の防衛省、自衛隊と大臣の関係は異常だったんで、これ以上、細かいことはともかくとして、そこは小野寺大臣に立て直してもらわないといけないですね」

青山繁晴「ええ、これは小野寺さんしかないと思ってました僕は。ただし、稲田さん、例えばね、マティス米国防長官がいらした時に、大きなリボンを付けた服で出てこられて、僕もびっくりしました、実はアメリカもけっこうびっくりして。

そんなのたかが服装というかもしれないれど、それは国と国との儀礼ですから、自衛隊は軍じゃないと言っても、軍と軍の儀礼ですから、みんなびっくりしたわけですよ。

会談を前に握手するマティス米国防長官(左)と稲田防衛相(2017年2月4日午前、防衛省)=代表撮影

そういう面と、

予算委員会で僕は稲田大臣にも責任の一端があると申しましたよね。なぜかというと、なぜ、このことを言わないんですかって。「統幕が発表してんだから陸幕は関係ない」と言えばいいでしょ、なぜあなたは言わないんですかって。それをもっとバーっと、そうです、もともと根幹からおかしいと。あるいはそれ稲田さんがわかってなかったら、正直に言って、その疑獄らしき命令系統をわかってなかったと、ワーっと言われるだろうけど、でも、それはっきり言ったほうがいいですよ。

でも、いつもの答弁しかなかった。

ただ後で伝わってきたところは、「ようやく言いたいことを少し言えた」というお話だった。「物言えば唇さみし」の国会になっているというのは暗黒国会ですよ。あきらかにね。

で、その上で、最後に一つだけ言えばですね。稲田さんなりに、一生懸命、部隊、回ろうとはしてたですよ。部隊を回ってる人ではあったから、回った部隊においては、服装とかに違和感を感じた人でも、一生懸命ね、自衛隊の活動をわかろうとしていた人だったと言ってる人はいまだにいるわけですよ。

でも24万自衛隊の隅々の部隊まで回るというのは、10年、防衛大臣やらないと無理ですよ」



広告