「アベノマスク」15%が不良品 1100万枚分 15億円“ムダ”に(FNN) は会計検査院報告と違うのでは?

2021年11月5日の会計検査院20年度決算検査報告をもとに、12月21日に参議院本会議で岸田総理が「布製マスクの配布事業実施状況等について」説明をしました。

これを取り上げたFNNプライムオンラインのニュースがタイムラインに流れてきたので、読みました。

「アベノマスク」15%が不良品 1100万枚分 15億円“ムダ”に 検品には20億円 保管費用も

という記事ですが、記者が間違っているのではないかという、気になる記述部分が2つありました。

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記者が間違っているのでは?

FNNプライムオンライン の記事での気になるポイントは以下の2つです。

  1. 今なお、くすぶり続ける、いわゆる「アベノマスク」問題。その不良品は、およそ1,100万枚。額にして、15億円を超えていた。1枚あたりの調達費用は、およそ140円のため、不良品に15億4,000万円もかかった計算。
  2. 2020年の春から、安倍政権が全世帯に2枚ずつ配った布製のマスク「アベノマスク」は、大量の在庫が残ったままとなっている。

①不良品に15億4,000万円もかかった計算?

FNNプライムオンライン では、次のように主張しています。

さらに21日の国会で、岸田首相は、アベノマスクの不良品について、「昨年4月から5月に、厚労省が直接検品を実施したところ、約7,100万枚のうち約1,100万枚、約15%が不良品でありました」と説明した。

厚生労働省が検品した、アベノマスクおよそ7,100万枚のうち15%にあたる1,100万枚が不良品。

1枚あたりの調達費用は、およそ140円のため、不良品に15億4,000万円もかかった計算。

FNNプライムオンライン2021年12月21日 火曜 午後6:38)

「1100万枚が不良品だから、不良品に15億4000万円もかかった」としていますが、ミスリードではないでしょうか?

会計検査院の報告書には次のように書かれています。

会計検査院20年度決算検査報告

宮岡は、 検品基準に基づいて布製マスクを確認し、良品とそれ以外のものに判別しており、厚生労働省の布製マスク7105万枚のうち1089万枚、文部科学省の布製マスク83万枚のうち18万枚が良品とはならなかった。 そして、厚生労働省は、この1089万枚のうち920万枚については、納入業者の負担において補修、交換等を行わせていた。一方、残りの168万枚については、納入業者から補修、交換等の同意を得られなかったり、納入業者を特定することが困難であったりしたため、納入業者の負担において補修、交換等を行わせることができなかった。 また、文部科学省は、この18万枚のうち、17万枚については納入業者に良品と交換させていた一方で、残りの8,223枚については納入業者を特定することが困難であったため、納入業者の負担において補修、交換等を行わせることができなかった。

(会計検査院 布製マスク配布事業の実施状況等についてp.258)

※宮岡というのは検品業者

厚生労働省:7105万枚のうち1089万枚が良品とならなかったので、920万枚を納入業者の負担で補修・交換を行わせた。168万枚については 納入業者の負担において補修、交換等を行わせることができなかった。

文科省:83万枚のうち18万枚が良品とならなかったので、17万枚を納入業者の負担で補修・交換を行わせた。8,223枚については納入業者の負担において補修、交換等を行わせることができなかった。

つまり、不良品の937万枚は、 納入業者の負担で補修・交換を行った。

937万枚は、追加の負担なしで 補修・交換済みです。

1089+18=1107(万枚)のうち残りの不良品は168万枚+8223枚

つまり、検品で見つかった1107万枚のうち、不良品として在庫に残っているのは約169万枚ですね。

1枚あたりの調達費用は、およそ140円のため、不良品に15億4,000万円もかかった計算

は不正確で、1枚あたりが140円なら、不良品にかかった費用は2億3660万円ではないでしょうか?

安倍政権が全世帯に2枚ずつ配った布製のマスク「アベノマスク」は、大量の在庫が残ったまま?

2020年の春から、安倍政権が全世帯に2枚ずつ配った布製のマスク「アベノマスク」は、大量の在庫が残ったままとなっている。

FNNプライムオンライン2021年12月21日 火曜 午後6:38)

全世帯に2枚ずつ配った「アベノマスク」が大量の在庫が残っていると報道しています。

しかし、これは高橋洋一先生の説明によれば、

「アベノマスク」といわれる世帯向け布マスクを約1億3000万枚、介護施設や妊婦向けには約1億5700万枚を調達。このうち、それぞれ約400万枚と約7900万枚が保管されていた。

(https://www.j-cast.com/2021/12/23427735.html)

2つの布製マスクの配布事業があったのですね。

「アベノマスク」の方は全世帯への配布を終え、保管されていた400万枚は余剰分だそうです。

在庫となっているのは、 全世帯に2枚ずつ配った「アベノマスク」 ではなくて、介護施設向けマスク(平型、立体型)の方です。

これもミスリードではないでしょうか?

この「 布製マスクの配布事業 」については、マスコミのミスリード報道が目についてとても気になります。



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