後藤田正晴さんが大叔父(祖父母の兄弟)にあたる衆議院議員の後藤田正純さんが、2020年6月に、Twitterなどで流されている後藤田正晴さんの遺言だとされる言葉について、明確にフェイク(デマ)であると否定されています。
後藤田正晴 遺言
「安倍晋三だけは首相にしてはいけない。
あいつには岸の血が流れている。
みんな岸の恐ろしさを知らない。
岸の血って血縁って言うだけじゃないんだよね。
人としての情が無い。恥を知らない。
岸信介と安倍晋三に共通しているのはその恐ろしさなんだ」。https://t.co/y2QPTq7TEg— yupi (@yupi98905739) May 4, 2020
これはfakeニュース
親族、秘書より— 後藤田正純 (@MasazumiGotoda) June 12, 2020
出典を書かない個人ブログ
この怪しげな「後藤田正晴 遺言」なるものの発信元のひとつが、「半歩前へ」という個人ブログです。
この個人ブログは、後藤田正晴さんが「安倍晋三だけは総理にしてはならない」と言ったと主張する内容を繰り返し繰り返し記載しています。
安倍も菅義偉も「総理の器ではない」と田中真紀子!https://t.co/533E7kUp4g
— 半歩前へ (@JOQUsqs9iO178vf) January 31, 2021
2021年の1月31日のブログ記事で次のように書いています。
後藤田正晴が安倍晋三について「アイツだけは総理にしてはならない」と繰り返し警告した。(2021年1月31日)
こちらは2021年1月4日付け。
安倍晋三でふと、頭に浮かんだ「同期の桜」という唄!https://t.co/YtgWEKnMDH
— 半歩前へ (@JOQUsqs9iO178vf) January 3, 2021
後藤田正晴は「安倍晋三だけは総理にしてはならない。安倍には岸信介の血が流れている」と、強く警告した。(2021年1月4日)
しかし、ブログ記事を見てわかるとおり、このブログには出典が一切書かれていません。
一次資料にあたるソースの記載もないこんな個人ブログを鵜呑みにする人が、いまだにあとを絶ちません。
【核心を突く真紀子節】◆安倍も菅義偉も「総理の器ではない」と田中真紀子!
・安倍晋三は人の心が分からない男だ。そんな男がなぜ、議員バッジを付けているかと言えば、後援会と称する利益集団が世襲議員を担ぎ出すからだ。(半歩前へ)
https://t.co/0NJFOV9BdD pic.twitter.com/vEMHZXbK53— suhama 脱原発 脱格差社会 (@suhamayuki) January 31, 2021
困ったものです。
「菅直人だけは絶対に総理大臣にしてはいかん」
御厨貴さんの『知の格闘』には、後藤田正晴さんが「菅直人だけは絶対に総理大臣にしてはいかん」と語ったと書かれています。
人物批評のところで「菅直人だけは絶対に総理大臣にしてはいかん」と言いました。ちょうど彼が厚生大臣になってスターになっていたときです。
「あれは運動家だから統治ということはわからない。あれを総理にしたら日本は滅びるで」と言ったわけです。
「そのまま載せます」と言ったら、「あそこは削りたい」「どうしてですか」「やっぱりまずい。自社さの内閣ができているときにスターをけなしたとなると問題があるから、これだけは削らせてくれ」と言われました。
「それなら、『これだけは削らせてくれ』と後藤田さんが言っていたということを話しでもいいですか」と聞いたら、「それはまずいけれど、うっかりしゃべっちまったらわからないよな」と言われたので、私はその後ずっとしゃべっています(会場笑)
(御厨 貴 知の格闘―掟破りの政治学講義)
仮に、後藤田正晴さんが「安倍晋三だけは総理にしてはならない」と言ったとしてだから何だというのかがまったく意味不明ですが、そもそも後藤田正晴さんのその言葉の出典すら明確に示されていないのです。
多くの人は、こうした出典の明らかでない個人ブログをソースに、後藤田正晴さんが「安倍晋三だけは総理にしてはならない」と言ったということを拡散されているわけですが、
仮に後藤田正晴さんが「菅直人だけは絶対に総理大臣にしてはいかん」の他に、「安倍晋三だけは総理にしてはならない」などと言っていたというのであれば、
後藤田正晴さんがいろいろな人に対して「…だけは総理大臣にしてはいかん」と言っていたボケ老人ということになってしまうというだけの話です。
なんでこれに執着しているのか不思議です。
半歩前へ、さんさ。
あなたが繰り返し書かれている「後藤田正晴が安倍晋三について「アイツだけは総理にしてはならない」と繰り返し警告した。」について、出典を出してください。 https://t.co/olQqMlhYPM
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) January 31, 2021
本日2021年1月31日にもなって、これが新着記事になっていることに、びっくりしました。
フェイクにだまされないために、ぜひ出典を自分で確認する習慣を身に付けましょう。
(出典というのは、個人ブログや画像ツイートのことではないですよ。信頼できる出版物や議事録、記録された動画などです)