覆面ストリートアーティストのバンクシーが2020年10月13日にイギリス・ノッティンガムの街中に描いた作品の一部の壊れた放置自転車が、11月22日までに消えたと、BBCなどが伝えています。
自転車はどうやら盗まれたようです。
ハフポストが、「地元住民が怒り」と記事にしています。
…が、個人的には、「まあ、そんなもんでしょ」と思うのでした。
後輪のない自転車と、その後輪でフラフープする少女のグラフィティ
作品は柱に繋がれた前輪が曲がってボロボロの後輪のない自転車と、その後輪でフラフープする少女のグラフィティがセットになったもの。
グラフィティ (graffiti) は、エアロゾールアート (aerosol art) ともいい、スプレーやフェルトペンなどを使い、壁などに描かれた図像のことです。
バンクシーの公式インスタグラムの10月17日の投稿がこれです。
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自転車も少女のグラフィティと一緒に出現したといい、この場所に放置されていたものではなく、ボロボロの自転車をバンクシーが作品の一部として持ち込んで柱にU字ロックで繋いだものらしいです。
作品は美容院の壁に描かれたもので、店主によると故障したふりをする車が2時間近く壁の前に駐車しており、作業が終わった後に名前を尋ねたところウインクだけして去ったという。
つまり、ステンシル技法で実行された落書き作品は、現場では2時間の作業時間で完成するもので、再現性がある作品です。
これは同じような作品は、作ろうと思えば他でも作れるということを意味します。
日本では、建物の所有者の許可を受けていないグラフィティは器物損壊に当たる犯罪行為です。
地元や建物の所有者に許可をもらってから打ち合わせをして作品を描けばいいのではないかとも思いますし、話題づくりのために神出鬼没に描いているのだとしたら、ちょっと疑問です。
おそらく、盗まれた自転車は、バンクシーの作品の一部ということで高く取引されるのかもしれません。
しかし、写真が残っているのですから、作品が完成度の高いものであるのなら、観光資源として保存するため、場所の権利者が同じような自転車を用意してもう一度置けばいい話です。作品の修復です。
作品そのものではなく、バンクシー本人が置いた自転車でないと価値がないというの変な話です。
バンクシーが10月にイギリス・ノッティンガムの街中に描いたタイヤでフラフープをする少女の横に置かれていた壊れた自転車が盗まれた。
こういう作品は保存が難しい。季節の風景と同じでしょせんは儚いものでしょう。それも仕方ない。@banksyのInstagram投稿をチェック https://t.co/9dreeKUx3b
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) November 23, 2020
花火は美しいですが、花火の場面を保存しようと考える人はいません。
せいぜい写真や動画で残るだけです。
バンクシーの作品もそんな儚いきらめきなのだと思います。
バンクシーが作品としてゴミの自転車を放置する。そして、その自転車が消える。
こうした、その後の出来事もまた、作品の一部ではないでしょうか。