週刊文春が加計学園岡山理科大獣医学部で不正入試があったと主張している記事の第3弾が公開されました。
3月18日発売の週刊文春3月26日号に書かれた内容は、「加計獣医学部 面接0点 韓国人学生は日本語弁論大会優勝者だった」というもの。
しかし、これ、ずいぶん奇妙な記事なんです。
「理事長が外国人留学生の日本語能力を称賛」は切り取り
「みなさん方の日本語力というのは、こちらが舌を巻くくらい、大変素晴らしいものであります」
昨年十一月に岡山市で行われた日本語弁論大会、外国人留学生の日本語能力を称賛するのは、他でもない加計学園の加計孝太郎理事長ご本人だった。(週刊文春 3月26日号)
という書き出しで始まる今回の記事、ほとんどの人は「面接0点の韓国人学生が11月の日本語弁論大会で優勝した」と錯覚しますよね。
優勝はモンゴルの学生
加計学園のプレスリリースによれば、
加計学園杯日本語弁論国際大会決勝 9カ国11人が五輪テーマに熱弁/モンゴルの大学生アノゥザヤさん優勝/環境改善訴え
優勝は初参加となったモンゴルのモンゴル国立生命大学2年、ガンフヤグ・アノゥザヤさん(19)、準優勝はスリランカのサハン・ヒロシ・ウィクラマスンダラさん、審査員特別賞(3位)は中国(重慶)のシ・コウキさん、今大会で初めて設けられた今治市長賞(4位)には中国(北京)のソン・ダクさん。
優勝どころか1位から4位までに、週刊文春のいう韓国人学生は入っていません。選外です。
どういうことでしょうか?
冒頭あいさつからの切り取り
週刊文春が記事に使用した文章は、「第9回 加計学園杯日本語弁論国際大会決勝大会」の主催者代表挨拶からの切り取りであることが判明しました。
「第9回 加計学園杯日本語弁論国際大会決勝大会」の模様(動画)
加計理事長の冒頭挨拶「ただいまご紹介いただきました理事長をいたしております加計でございます。本日はもう間もなく師走という大変お忙しい中を、日本語国際弁論大会を開催いたしましたところ、本当に多数のご来賓各位にご参加いただきまして、この会に花を添えていただき心から感謝を申し上げる次第であります。この会も今、司会の方が申しましたように、もう9年を迎えるわけでありますけれども、今年も本当に後援をしていただきました外務省そして文科省そして県、市の、国際交流課長さんにもご出席を賜り本当にありがとうございます。この度も2000名を超える余の参加者の中から最終的にここにおります9カ国11名の方々が予選会を勝ち抜いてここに参加をしておられます。
この度は新しくモンゴルとバングラデシュからも、2カ国が増えたというふうに聞いておりますけれども、この大会がますますの輪が広がり、そして世界への平和の架け橋になることを心から祈念をいたしているところであります。
毎年のことでありますけれども、もう勝ち抜いてこられた皆さん方の日本語力というのはこちらが舌を巻くぐらい大変素晴らしいものでありますけれども、おそらく今回も審査員の先生方泣かせになるのではないかという風に考えております。まあ、あの今日の模様はインターネットで世界に発信をされているということを聞いております。家族の皆様方またご友人の皆さま方も応援をしておられることと思いますので、ここに勝ち残ってこられた方々におかれましては、最終でありますから、もう力いっぱいの力を出して頂いて優勝へ向けて頑張っていただきたいと思います。それでは検討を祈ります。ありがとうございました(場内拍手)。」
この主催者代表挨拶の後に、9カ国11人のスピーチが行われました。
つまり、この加計孝太郎理事長の発言は、週刊文春が記事にしているような韓国人留学生のスピーチに対しての感想ではないのです。
この加計理事長の挨拶の切り抜きを冒頭に持ってきたのは、読者の錯誤を狙った記事のように見えます。
例えば、5400リツイートもされているこのようなツイートです。
あちゃー(>_<)
「日本語でのコミュニケーションが難しかった」韓国人学生日本語弁論大会優勝者
その弁論大会は「加計学園杯」
加計孝太郎理事長ご本人が「(日本語力は)こちらが舌を巻くくらい、大変すばらしい」と称賛していた。 https://t.co/sYYV7GfneB
— 長谷川羽衣子🍀反緊縮グリーン・ニューディール (@uikohasegawa) 2020年3月18日
加計孝太郎理事長は、韓国人学生についてそのように発言したのではありません。
韓国人学生のスピーチの前にされた発言ですからね。「おそらく今回も」とのあいさつです。
テーマ、参加資格、採点基準など
今回の弁論大会のテーマは「オリンピックがもたらすもの」です。
採点基準に従って、50点満点で採点されます。
ひとりの持ち時間は5分です。
この採点基準で、韓国人学生は4位までに入れなかったのです。
どうも、週刊文春の加計学園の不正入試報道は怪しいと感じます。
弁論大会の動画をすべてチェックしました。
韓国人の方は加計学園主催の弁論大会優勝者ではないですね。
地区大会の優勝者、つまりファイナリストだったと言うだけの話。
しかも、弁論大会は、5分の持ち時間で、原稿と思われるスピーチをするだけです。 https://t.co/YV7MAmuHlE— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) 2020年3月18日
いくら原稿がある弁論大会で日本語でうまく5分間スピーチできたとしても、生物、化学などの基礎知識を日本人と同じレベルで日本語で問われる面接試験での実力を証明することはできません。
この2つの能力は別のものです。
韓国地区大会優勝
では、週刊文春が取り上げている「加計学園主催の弁論大会優勝者」とは何でしょうか?
次の韓国での記事が見つかりました。
ソウル崇義女子高ジョンフイユン学生、加計学園日本語弁論大会韓国地区大会優勝 – エドゥのニュース(EduinNews) https://t.co/fzmlF6h3Ta
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) 2020年3月18日
この記事によれば、優勝したジョンフイユン学生は日本往復航空券と4泊5日間の日本滞在費用の全額を受け取り、岡山理科大学や千葉科学大学、倉敷芸術科学大学に入学する場合は、入学金と1年間全額奨学金を授与される、とあります。
彼女は岡山理科大学獣医科入学を希望しており、入学時約2800万ウォン相当の奨学金を受けることになり、11月28日岡山で開催される本大会で1〜3等に入賞した場合、さらに2年間全額奨学金を受けとることができる、と書かれています。
残念ながら、彼女は本大会では入賞はできなかったようです。
ただ、報道によれば推薦入試A方式で合格できなかった韓国人受験生のうち2名は、別の試験で合格していることがわかっています。
週刊文春が問題にしているこの韓国人受験生は、推薦入試A方式では合格できなかったものの、別の試験ですでに合格しているのではないかと推測しているのですが、なぜか週刊文春にはこの一番重要な事項は書かれていません。
本当に加計学園は差別的な学校なの?
加計学園には「留学生別科」というものがあるようです。
これは日本の大学で学ぶ留学生のために、1年ないし2年、日本語を指導するというもので、留学生別科長挨拶には次のように書かれています。
岡山理科大学は国際交流を重視する創立者の強い思いのもと、多くの海外教育機関と交流し、留学生を受け入れています。その中で留学生別科は、2010年の開設以来、本学あるいは関連大学に進学を希望する人を諸外国から受け入れ、大学の講義に対応できる日本語能力を身に付けると同時に、日本文化に対する理解を深めるための準備教育を行っています。(留学生別科長挨拶より)
加計学園杯日本語弁論国際大会を見ての感想は、加計学園は海外留学生にとても優しく面倒見が良いという印象です。
週刊文春の記事とは逆に、いろいろ調べていくうちにわかったことです。
なぜ、そんな大学を外国人差別と言って叩くのか?
安倍総理=ネトウヨ、安倍総理の友人だから差別するはず、ということなのでしょうか?
謎に満ちた週刊文春の一連の岡山理科大獣医学部不正入試疑惑記事です。
週刊文春には、何か別の目的があるのではないでしょうか?