ジム・ロジャーズ「安倍首相は辞任してください」というのは大韓航空株を買っているポジショントーク?

ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界三大投資家」と称されるアメリカの投資家ジム・ロジャーズ(76)さんが、韓国KBS1の番組「今夜キム・ジェドン」(15日放送回)で「韓日経済の未来」をテーマに司会者と対談したそうです。

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ジム・ロジャーズ「安倍晋三首相は辞任してください」

ジム・ロジャーズさんは、日本の安倍晋三首相に向けて「辞任して下さい。辞任する考えがないのであれば、これ以上狂った行為をやめて下さい」と発言したと「高麗ジャーナル」さんが記事にしています。

しかし、実際に株式などに投資をしている投資家であれば、自分の不利益になるようなことは発言しないと考えられます。その言葉は無条件で信じることはできません。

ロジャーズ氏は「(日本は)韓国と良好な関係を結ばなければならない。韓国は世界的に大きな経済市場の一つだ」と指摘して安倍首相に忠告した。

彼は日韓貿易紛争について「現在の葛藤の理由は、日本は凋落して韓国が上がっているため」と分析、「安倍氏はどうすべきかを知らない。(韓国を)妨げることしか安倍氏にできることがないから試みているのだろう」と評した。

(高麗ジャーナル 2019.08.18)

 

韓国の番組に出演して発言しているわけですから、韓国の視聴者向けの内容でしょう。それをそのまま日本に持ち込んでも偏った内容に感じるわけです。

さらに、株式などを購入していれば、自分のポジションにプラスの発言をするだろうということは容易に想像できることです。



昔からアベノミクスに否定的

ジム・ロジャーズさんは、昔からアベノミクスに否定的です。

2013年6月、アベノミクスを批判して、安倍晋三首相の経済政策は失敗に終わるだろうと述べています。

ジム・ロジャーズ:「振り返ると、安倍氏は日本を台無しにした」businessinsider(英語)

(グーグル翻訳)

ジム・ロジャーズは日本にとって最悪の事態を恐れています。

(中略)

Fusion:  日本ではどうやって終わるのか?涙で?

ロジャーズ:  もちろんそうです。日本には非常に深刻な問題があります。振り返ってみると、安倍氏は日本を台無しにしてしまったでしょう。莫大な債務水準、恐ろしい人口統計、彼らは外国人を受け入れないでしょう、人口は減少しています。安倍氏がやって来て、彼は通貨を台無しにするだろうと言います。それは長期的には災害であり、短期的にも機能するとは限りません。

ロジャーズは続けて、彼は中国に対して強気であり続け、それを止めることができる唯一のことは資源危機であり、具体的にはその水供給についてであると言いました。

中国の物語が大きな問題に直面する唯一の方法は、彼らが水を使い果たすことです。中国には大きな水問題があります。彼らはそれを解決するために懸命に働いています。彼らはそれを解決すると信じています。あなたがたくさんのお金を稼ぎたいなら、その問題を解決するために働いている会社を見つけてください。株式市場に関しては、買いに近づいています。金曜日に数株を買いました。彼らの市場はそれが買われるべき点に近づいています。

(businessinsider 2013.06.14)

 

北朝鮮にお金を持っていくべきだ

2015年2月には、ジム・ロジャーズさんは東洋経済で「日本を脱出して、北朝鮮にお金を持っていくべきだ」と語っています。

カリスマ投資家のオススメ移住先は北朝鮮?! 12歳以上のあなたが日本を脱出すべき理由 | 最新の週刊東洋経済 – 東洋経済オンライン

(ジム・ロジャーズ氏の話)

日本の大きな問題は3つあると私は見ています。人口が減っていること、債務が天井知らずに増えていること、そして、安倍晋三首相がまだいることです。

安倍首相は、株式マーケットにはよいことをしてくれています。日本株に投資している私も、メリットを得られています。今後も日本株への投資は続けると思います。

でも、それが日本経済や日本国民にとってよいことかというと、それは別の話です。安倍首相が今やっていること、つまり紙幣の増刷によって自国通貨の価値を下げるということは、非常にお粗末だと私は思います。10年後、20年後になってみて、「あのとき、日本は終わっていたんだな」と気がつくでしょう。

(中略)

あえて言うなら、おカネをすべて持って行けるなら北朝鮮でしょうね。1980年の中国、2010年のミャンマー、そして今の北朝鮮の状況は非常によく似ていて、北朝鮮は今後の展開が楽しみなところです。

(東洋経済オンライン 2015.02.28)



「大韓航空の株」を買った

2019年1月、ジム・ロジャーズさんは、昨年6月に、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による電撃的な米朝首脳会談が行われたのを見て、「いま最も注目しているのが北朝鮮の経済開放の動向だ」と語りました。

北朝鮮との旅行関連株に注目して「大韓航空の株」を買ったそうです。

ジム・ロジャーズ氏「北朝鮮バブルが来る。私は大韓航空株を買った」マネー現代

北朝鮮では、すべての産業が成長する可能性があります。彼らはいい紙ナプキンもないし、椅子もないし、いい電気製品も、いいレストランも、いいビールもない。思いつくものはなんでも、いいものはないのです。しかし、彼らはそれらを欲しがっている」

米朝首脳会談を経て朝鮮半島の経済開放機運がにわかに高まってきているなか、そこに「絶好の投資機会」を見出しているわけだ。

実際、ジム氏は北朝鮮関連の株式投資を実行済みだと言う。その「手の内」まで明かしてくれた。

私は、大韓航空の株をすでに買いました。これから経済開放が実現すれば、韓国と北朝鮮間で旅行が盛んになると思うからです」

(マネー現代 2019.01.04)

大韓航空が日本路線見直し 収益性が低下で

2019年8月20日、大韓航空は、業績悪化で日本と韓国を結ぶ路線を大幅に見直すと発表しました。

日韓関係の悪化に伴う訪日客のキャンセルが相次ぎ、収益性が低下したのが理由としています。



大韓航空の株価チャート

大韓航空の株価チャート(5年)は、こんなかんじです。

買いのポジションであれば、損失が膨らんでいると思われます。

 

まとめ

これらの一連の記事から見えることは、

  1. 投資家ジム・ロジャーズさんは、2013年から「アベノミクスは紙幣の増刷によって自国通貨の価値を下げているだけ」と批判し続けていた。
  2. 電撃的な米朝首脳会談を見て、北朝鮮関連の株として、大韓航空の株を購入した。
  3. ところが、安倍政権が韓国に対して厳しい姿勢をとり、大韓航空の収益が悪化してしまい、株価も影響を受けた。
  4. 2019年8月、ジム・ロジャーズさんは、日本の安倍晋三首相に向けて「辞任して下さい」と韓国の放送で発言した。



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