「表現の不自由展・その後」の展示内容について 電話による質問と回答(読者投稿)

(昭和天皇の写真を自画像と称してバーナーで燃やして踏みつける映像芸術=表現の不自由展より)

当ブログの読者様より情報提供として、「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」の展示内容について、各行政機関に直接質問を行った報告が届きました。

この質問は中止が決定する前の8月2日に、電話にて行ったものです。

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電話質問の趣旨

2019年8月1日より愛知県(名古屋市中心)にて開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。

おおよそ芸術作品とはいい難い、慰安婦問題の蒸し返し、天皇否定、安倍政権批判、沖縄米軍批判、憲法9条などの「政治的な意図」を意識した「表現の不自由展・その後」という展示がされておりネット上でも話題となっていました。

この件について各行政機関などに対して、その真意を一般市民の目線で問題点を抽出し、電話による質問と意見陳述を行いました。

あいちトリエンナーレ2019のホームページ

 

質問内容

問題点として質問した内容は以下のとおりです。

  1. 【子供の教育上の問題】保護者として子供と一緒にイベントに訪れた際に、その展示物(慰安婦像)について、子供が質問してきたときに保護者が説明、回答に窮するものではないのか? ⇨この展示物(慰安婦像=娼婦)は芸術鑑賞という子供の情操教育上、好ましいものではなく、また不適切ではないか。
  2. 【政治的中立性の問題】政治的メッセージが強い展示物を展示することは、公共施設を幅広く利用する国民、県民、市民の公共の利益を損ない、かつ特定の政治運動体を利することになり行政機関としての中立性が疑われるのではないか? ⇨国、地方自治体などが、当該イベントに協賛し予算を計上している以上、政治的中立性が求められるのは当然のことであると考える。
  3. 【予算の透明性の問題】国、地方公共団体の予算はすべて国民の税金で賄われている。その予算の使途は明確にするべきではないか? ⇨特定の政治活動に対して、公共施設の利用を優遇することは許されるべきことではない。運営の透明性に問題があると指摘せざるを得ない。
  4. 【展示物のチェックの問題】ホームページには行政機関名が協助と記載されているが、展示物内容のチェックは行っているのか? ⇨予算が不適切に支出されているとすれば会計監査などの対象になると考えられるが、その認識で間違いないか?



各行政機関の回答

各質問内容を、電話にて各行政機関へ問い合わせした結果は以下のとおりです。

愛知県庁県民文化局文化部文化芸術課 トリエンナーレ推進室の回答

https://www.pref.aichi.jp/soshiki/bunka/0000018394.html

  1. 【子供の教育上の問題】確かにご指摘の通り、「慰安婦像=娼婦」は保護者の方からするとお子様の質問に答え難いものである。お子様の教育上、不適切かどうかは判断しかねる。
  2. 【政治的中立性の問題】他の方からも電話による同様の意見を頂戴している。
  3. 【予算の透明性の問題】ご指摘の通り、行政機関は政治的中立性が求められる立場ではあるが、本件については回答を差し控える。
  4. 【展示物のチェックの問題】県の予算(県民税)より、イベントへの支出がされている。イベントの内容に関しては、「あいちトリエンナーレ実行委員会事務局」に任せているので詳細については把握し切れていない。また、展示内容についても十分に内容確認できていないと思われる。
  5. 電話に応対した担当者は、「質問内容を記録し上司へ報告する」との対応であった。

 

名古屋市役所文化振興室(あいちトリエンナーレ担当)の回答

  1. 【子供の教育上の問題】展示内容が不適切であるとの意見は他からも寄せられている。
  2. 【政治的中立性の問題】ご指摘のとおりである。
  3. 【予算の透明性の問題】名古屋市として「あいちトリエンナーレ実行委員会事務局」へ予算支出していることはご指摘のとおりである。
  4. 【展示物のチェックの問題】展示物は、その内容について審査していない。
  5. 頂いたご意見は上司へ報告し、当該事務局などとも情報共有するとのこと。



愛知県庁会計監査事務局

http://www.pref.aichi.jp/kansa/

「愛知県が各イベントなどに支出している予算については、そのお金が適正に会計されているか会計監査の対象となる。

しかしながら、イベントなどの実施については、その実行委員会や事務局にお任せしているところであり、予算使途の明細についてまでは踏み込んで調査することには限界がある。

とはいえ、「税金」が投入されている以上、その使途の中に不明瞭なものがあるのならば会計監査事務局としては会計監査指摘事項となる。

不適切な予算について告発あるいは、情報提供があったとしても会計監査事務局が 対応できるのは、あくまで県予算から支出している項目のみ対象となる。 」

以上の見解を踏まえ会計監査事務局職員に、以下の質問をしてみた。

夏休み期間中の子供連れのイベントとして適切か?

Q1.イベントの内容、特に「平和の少女像」とは韓国の「従軍慰安婦=娼婦」を連想させるものであり、来場した保護者が子供から「慰安婦とは何か?」との質問について到底回答に窮するものであることから、子供の情操教育上不適切極まりないものではないか?

また、当該イベントは子供たちの芸術に対する感性を高め、かつ教育に資するものと解釈しているが間違いないか?

A1.一部マスコミによる報道およびネット上では、そのように不適切な展示内容であると指摘されているが、当実行委員会のホームページなどや展示内容の掲示物には、「平和の少女像」の経緯や、「慰安婦」のことについての記載があるので、そちらを確認していただきたい。いろいろな議論はあると思うが、ご来場された保護者並びにお子様が「平和」を考える良い機会となればと考えている。

そしてイベント自体は夏休み期間中、多くのお子様たちが来場することからイベントを楽しめる企画を用意している。ぜひ、ホームページをご覧いただきイベントの趣旨と内容をご理解いただきたい。

特定の政治運動では?

Q2.「表現の不自由展」は、慰安婦問題の蒸し返し、天皇否定、安倍政権批判、沖縄米軍批判、憲法9条など、実際には特定の政治運動体が発する「政治的メッセージ」が色濃い展示と指摘せざるを得ないが、その点の見解をお示し願いたい。

A2.あくまで「表現の不自由展」のとおり、色々な表現があってしかるべきである。そこに各芸術家の「政治的メッセージ」はないものと考える。個々の展示物の評価についてはコメントを差し控える。すべては来場者の感性で作品をご観覧していただければと思う。

Q3.私は展示内容が子供の教育上、不適切なものであると考えている。不適切であるという立場で、この件について意見しているのであって、事務局側としてそういった側面が指摘されるとの予測は立てられなかったのか。

A3.事務局側は、あくまで芸術監督が選んだテーマについて内容を協議し、選定しているので問題ないと考えている。また、展示内容については上司の決裁を仰ぎ決定しているものなので問題ないと考えている。

Q4.特定の政治運動体や、個人が公共施設を使用して「政治的メッセージ」を発信することが問題である。仮にも税金で運用されている施設は政治的中立性を求められると考えられるが、そのあたりは問題ないのか?

A4.もちろん公共施設を使用してのイベントなので政治的中立性を求められることは承知している。今回のイベントは、「表現の不自由展・その後」が示す通り、芸術作品として展示されたが様々な経緯があり過去に展示中止となったものである。なぜそうなったのかを作品を通して考えてもらえれば幸いである。

予算について

Q5.このイベント開催に際して、文化庁、愛知県、名古屋市より予算支出されていることを、それぞれの行政機関より伺っているが、その予算の使途などについては不明瞭な点はないのか?

A5.予算は、過去3回(2010年、2013年、2016年)のイベント実績予算を根拠にして算出している。

Q6.では、具体的な例で話すと、公共工事発注における明確な積算基準などの根拠のような根拠資料があり、イベント予算が積算され予算算出されているのか?

A6.そういったものは存在しないが、過去のイベント予算から算出する方法論が合理的であると考えている。過去の予算資料は公開されているので内容確認していただきたい。

Q7.愛知県庁監査事務局に不適切な予算使途があると指摘された場合には、当該事務局が根拠資料を示し適切に監査対応ができると解釈してよいか?

A7.監査には十分耐えられると考える。

津田大介氏の起用の経緯について

Q8.今回、芸術監督に就任している津田大介氏の起用については、どのように決定したのか? また、実行委員長である大村秀章知事と津田大介氏の癒着はないのか?

A8.津田大介氏の起用については実行委員会メンバーによる選定で決めた。大村秀章知事と津田大介氏の間には一切癒着などない。

Q9.各行政機関にイベント内容について審査しているか質問してみたところ、予算は出すがその先は関知しないという回答が大半を占めていた。ここの事務局もそのような体質ではないのか?

A9.イベント内容については実行委員会事務局でも把握しており、芸術監督以下スタッフに丸投げではない点をご理解いただきたい。

 

感想

各行政機関に対しては、以下の3つの重要な問題点を提起しつつ質問を行った。

①子供への教育上不適切であること。

②特定の政治目的に公共施設が使用されていること。

③多額の税金を投入しての「政治的メッセージ発信」は公共の福祉に反すること。

それぞれの行政機関の回答は共通して、寄せられた意見は「上司に報告し、各機関に共有します」との回答であった。

結果は役所らしい回答そのものであったが、各行政機関の担当者からは生の声が聞けたと考える。



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