ヤフーニュースが5月24日に、未発売商品がAmazonレビュー高評価 競合企業「闇の深さに涙が止まりません」、という記事を配信しています。
未発売商品がAmazonレビュー高評価 競合企業「闇の深さに涙が止まりません」(J-CASTニュース) – Yahoo!ニュース https://t.co/bpeu6Pl3ag
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) 2019年5月26日
まだ発売前のスマートフォンの保護ガラスフィルムの「商品レビューに★がたくさん付いている」という指摘の記事です。
この記事では、報酬を得て商品を賞賛する内容を書き込む「ステルスマーケティング」を疑う内容になっています。
根拠もなく、そんなことを記事にしていいのでしょうか?
以下略ちゃんが確認したところ、レビューの大部分は「ステルスマーケティング」とはいえないのではないかと思える理由を見つけました。
「ステマ」でない可能性について、説明します。
Xperia 1 は、6月中旬に発売予定
SONY Xperia 1 は、6月中旬に発売予定のスマートフォンです。
Amazonでスマートフォン関連の商品などを販売する「ミヤビックス」(京都市下京区)の公式ツイッターは2019年5月23日、「AmazonでXperia 1のフィルム検索してたらあるガラスフィルムがすごい星の数なんですけど、まだ売ってないXperia 1に貼った感想がいっぱい書かれてて、闇の深さに涙が止まりません」と投稿しています。
AmazonでXperia 1のフィルム検索してたらあるガラスフィルムがすごい星の数なんですけど、まだ売ってないXperia 1に貼った感想がいっぱい書かれてて、闇の深さに涙が止まりません。
— 株式会社ミヤビックス☆ビザビ事業部 (@visavis_miyavix) 2019年5月23日
このツイートによれば、まだ発売されていないスマホの、他社製保護ガラスフィルムはすでに、レビューがたくさん付いているということらしいです。
Amazonで「Xperia 1 フィルム」と検索をすると
★が付いているレビューがたくさんあります。
なるほど、このツイートやヤフーニュースだけを読むと、お金をもらってレビューを書いている「ステマ」が連想されます。
ですが、以下略ちゃんの判断は違います。
これらのレビューが「ステマ」ではない2つの可能性について、説明します。
① 中国では5月12日〜18日の間にリリース
この記事を書いている5月26日現在、6月中旬発売のXperia 1 は日本では発売されていないことになっていますが、こちらの韓国語のブログによると、
ソニーエクスペリアX1の価格は中国の標準6799元で 出てきています。約114万ウォン前後です。
(参考までに、米国の価格は999ドル)
発売予定は量産が本格的に開始される月に入り、5月12日〜18日の間にリリースとなります。
PSちなみに、昨日流出の情報をささげX1sモデルはx1フラッグシップの一つの派生作であり、噂のエクスペリアコンパクトモデルとは、追加の小さなモデルです。(グーグル翻訳)
と書かれていて、この記事によれば、5月18日には中国で発売されているようです。世の中には、すでにXperia 1 を所有している人が存在する可能性があります。
② 賢い業者の販売ページの工夫
こちらの『Gootime Xperia 1 フィルム』という商品には、現在55件のカスタマーレビューが付いています。
発売前なのに、どうして55件もレビューが? と疑問に思う方もいるでしょうが、これにはからくりがあります。
Amazonのひとつの商品の販売ページでは、「カラー」が選択できるようになっています。
5つの「カラー」選択をクリックすると、3番目が『Xperia 1』です。
ところが、1番目は『AQUOS R3』になっています。これは2019年夏モデルですが、もうすでに発売されているようです。
4番目は、2018年の夏のモデル『Xperia XZ2 Compact』になっています。
この業者は、スマホ向け類似グッズを一つの販売ページにまとめていて、「カラー」選択肢が、カラーではなくて、「対象スマホ」の選択肢にもなっているんですね。
新商品も、同じ商品のバリエーションとして並べています。同じガラスフィルムですからね。同じガラスフィルムのサイズ違いという扱いなのでしょう。
このように販売を続けているとレビューが1か所のページに積み上がって、どんどん増えていきます。
たくさんのレビューが付いていても、それは別の「対象スマホ」のもので、必ずしも新商品のレビューではないのです。
新商品もこの販売ページに追加すれば、最初からたくさんレビューや★が付いていますから、発売直後から信頼できる商品に見えるわけです。
「闇の深さに涙が止まりません」と書かれていますが、闇というよりも、Amazon販売ページの仕組みを利用した、賢い業者の工夫といえるかもしれません。
(※この記事は、今回のケースの大部分がステマではないという主旨で、ステマがひとつもないという意味ではありません。ステマの手法についても知っていますが、それはまた別記事でご紹介します。)