東京・台東区議選 自民5人落選のウラを読む N国党の躍進 都民ファースト

東京の台東区は、2015年1月7日に吉住弘 区長が在任中に死去、区長選が早められ同3月1日に行われました。2015年の区議選は4月26日に行われましたが、今回2019年の区議選は区長選と同じ日程で、他の区よりも1ヶ月ほど早く選挙が行われました。それにしても、国会議員が選挙結果についてツイートするのですから、「台東区」という区名くらいは正確に書いてほしいと思います。

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自民5人落選と言うけれど

立憲民主党の有田芳生 参院議員のツイートが説明不足でミスリードを誘っているようです。3月17日の東京都台東区議会議員選挙の結果を分析してみます。

都議選の立候補で辞職

今回の選挙前の会派別議員数は次のとおりです。(2019年3月6日現在)

台東区議会自由民主党 9 自由民主党
たいとうフロンティア 8 国民民主党・無所属
台東区議会公明党   5 公明党
つなぐプロジェクト  4 無所属
日本共産党台東区議団 3 日本共産党(1人は今回の区長選に立候補した)

定数32なのに、欠員があるのは、2015年の選挙で4425票でトップ当選だった保坂まさひろさん(自民)が辞職して、2017年の東京都議会議員選挙に都民ファーストから立候補して29838票で当選したからです。

2015年の選挙で当選した、いずみひろしさん(自民)も辞職して2017年の東京都議会議員選挙に自民党から立候補しましたが、16838票で落選しています。いずみひろしさんは、今回の区議選に立候補して当選、区議に戻っています。

2019年選挙結果

2019年3月17日の台東区議会議員選挙の結果はつぎのとおりです。定数は32人です。

当選

  • 自民 9
  • 公明 5
  • 共産 4
  • 国民民主 3
  • 立憲 2
  • 都民ファースト 2
  • N国党 1
  • 無所属 6

落選

  • 自民 5
  • 無所属 4

つなぐプロジェクトと自民党の現職がそれぞれ2人、落選しています。

つなぐプロジェクトとは

台東区議会に、新たな風を起こすべく若い期数の議員4人にて、政党既存のしがらみにとらわれることなく、「すべては区民のためだけに」の理念のもと、会派「つなぐプロジェクト」を結成 (台東区議会だよりNo.212より)

自民党は、前回12人だったのに14人も擁立しました。

個人的に、一番気になったのは、つなぐプロジェクトの現職、富永りゅうじさんが1093票で落選したことです。



都民ファーストと自民党

都民ファーストの設立は2017年1月23日です。前回2015年の選挙のときには存在していませんでした。

村上浩一郎さん

2015年の選挙で、村上浩一郎さんは自民党から立候補、1065票で33位で落選しました。

2019年の選挙では、 村上こういちろうで都民ファーストから立候補、1526票の21位で当選しています。

中村けんじろうさん

2015年の選挙で、中村けんじろうさんは無所属で立候補、938票の34位で落選しました。

2019年の選挙では、 都民ファーストから立候補、2564票の2位で当選しています。

前回トップ当選だった保坂まさひろさんは辞職、都議に

2015年の選挙で、自民党から立候補、4425票でトップ当選だった保坂まさひろさんは、2017年に辞職して東京都議会議員選挙に都民ファーストから立候補し当選しています。

民主党と立憲民主党、国民民主党

2015年の選挙では、民主党から5人、当選しています。

2019年の選挙では、立憲民主党が2人、国民民主党が3人、当選しています。

NHKから国民を守る党の躍進

NHKから国民を守る党から立候補した掛川あきなりさんは、1656票の18位で当選しています。無所属だった2015年の選挙ではわずか337票しか取れずダントツ最下位でした。



自民票は減ったのか?

赤旗は3月19日の記事で、自民党は1473票減らした、と書いています。

日本共産党は4人が全員当選。安倍政権の暴走への批判が、自民党の大量落選という形で示されました。

(中略)

自民党は前回当選の10議席から14人を擁立し、公明党(5人)と合わせて過半数を狙ったものの、前回から1473票、得票率でも2・74ポイント減らし、現職2人、新人3人が落選して1議席減らしました。(しんぶん赤旗 2019年3月19日)

たしかに2015年の選挙での自民党候補者の総獲得票数は21652.742票、今回2019年は20179.667票で、1473票減っています。

しかし、前回、自民党で今回都民ファーストに変わった村上こういちろうさんの1526票が都民ファーストに移動しただけという見方もできますので、一概に自民票が減ったともいえません。

都民ファーストの支持層は自民党支持層と重なっているのです。

今回落選した、自民党の小島智史さんは32位と4票差でした。安倍政権への批判というよりは、NHKから国民を守る党の躍進の影響を受けてしまったというのが実態だと思います。自民党が前回当選10人から今回9人に減ってしまったのは、候補者を立てすぎたことが原因でしょう。

(※コメントでご指摘をいただきましたので、2015年の選挙日程記述について一部加筆修正いたしました。)



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