鳥栖市長選と厚木市長選で自民推薦候補が落選 自民、地方選に暗雲…なわけでもない 4選をめぐる話題

(画像は、2019年の厚木市長選結果 NHKニュースより)

2019年2月17日、佐賀県の鳥栖市長選挙と、神奈川県の厚木市長選挙で、自民党の推薦する候補が現職に敗れて落選しました。

これを「2月17日投開票の鳥栖市長選(佐賀)と厚木市長選(神奈川)で、 自民推薦候補が敗れるという事態に。統一地方選、衆院補選、参院選へ自民、暗雲が」などと解釈している人がいました。

とても違和感のある解釈です。ずいぶん適当な解説だなぁと思いました。自民推薦だからというような単純な構図ではないのです。

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自民推薦候補が敗れ。暗雲?



鳥栖市長選挙の流れ…善戦した自民推薦候補

過去の鳥栖市長選挙の流れは次のようなものです。

2007年2月18日の鳥栖市長選挙は、3選を目指す現職・牟田さん(自民・公明推薦)と、改革派を標榜して商工会議所など地元企業が応援する新人・橋本さんとの一騎打ちでし た。62.22%というかなり高い投票率でその注目度がわかります。

結果は、

橋本 康志  無所属51歳 (男)新人  16,161 票

牟田 秀敏  無所属66歳 (男)現職  14,750 票

で新人の橋本さんの勝利でした。

 

2011年2月20日の鳥栖市長選挙は、2007年に敗れた牟田さん(自民・公明推薦)が橋本さんに再び挑みましたが、前回と同じような結果でした。

橋本 康志  無所属55歳 (男)現職  15,743 票

牟田 秀敏  無所属70歳 (男)元職  13,417 票

古賀 ひでのり  無所属55歳 (男) 新人  857 票

でやはり橋本さんの勝利でした。投票率は、57.4%です。

 

2015年2月22日の鳥栖市長選挙は、前市議の中村圭一さんを自民党が推薦しましたが、橋本さんが3選を制しました。

橋本 康志  無所属 59歳 (男)現職  16,424 票

中村 圭一  無所属45歳 (男)新人  10,239 票

古賀 ひでのり  無所属59歳 (男)新人  514 票

2015年の投票率は、49.8%でした。

10票差

そして今回2019年、自民党は元市職員の槙原聖二さんを推薦して現職に挑みましたが、10票の僅差で届かなかったわけです。

現職に挑んで、10票差ですから、敗れたとはいえ、善戦したのではないでしょうか?

問題なのは、投票率が過去最低の44.58%で、まったく有権者に興味を持ってもらえなかったことです。橋本 康志さんの多選(4選)です。



厚木市長選挙と市長の多選(4選)

神奈川県の厚木市長選は、自民党推薦が、というよりは市長の多選(4選)をめぐる是非が争点でした。


小林常良(こばやし つねよし)さんは、2003年に自民党公認で神奈川県議会選挙に出馬して初当選しました。元々は自民党の人だったわけです。

小林常良さんは、2007年に、県議を1期目の任期途中で辞職。当時の市長の山口巌雄さんの多選を批判して、多選(4選)を阻止すべく、自民党を離党し、同年1月28日に行われた厚木市長選挙に無所属で出馬し、初当選しました。

2011年の市長選挙では、元厚木市議会議長の石射正英さんを約8千票差で破り、再選。

2015年の市長選挙も石射正英さんとの再戦となり、約4千票差まで迫られるものの、3選。2015年12月、厚木市は市長の任期を3期12年までとする多選自粛条例を制定しました。小林市長の持論によるものです。

ところが、2019年、この条例はあくまでも「多選を自粛する条例」であって、禁止するものではないために、小林常良さんは自分が多選(4選)になった今回は「まだまだ、やり残したことがある」などと主張して4選を決めたのです。

2007年に、小林常良さんが、当時の市長の多選(4選)批判をしたのは、何だったの?
という選挙でした。



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