「1年の間に発生したさまざまな『ことば』のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶ」という『2018年ユーキャン 新語・流行語大賞』のノミネート30語が発表されました。
あいかわらず、「ご飯論法」などというぜんぜん流行ってもいない政治案件用語が含まれているのに、あれだけ流行った「メタタグ」「ストローマン論法」などが含まれていません。おかしな話です。
ノミネート漏れと思われる言葉について考察してみました。
ノミネートされた30語
ノミネートされたのは以下の言葉です。(黄色は、政治案件)50音順
- No.01 あおり運転
- No.02 悪質タックル
- No.03 eスポーツ
- No.04 (大迫)半端ないって
- No.05 おっさんずラブ
- No.06 GAFA(ガーファ)
- No.07 仮想通貨/ダークウェブ
- No.08 金足農旋風
- No.09 カメ止め
- No.10 君たちはどう生きるか
- No.11 筋肉は裏切らない
- No.12 グレイヘア
- No.13 計画運休
- No.14 高プロ(高度プロフェッショナル制度)
- No.15 ご飯論法
- No.16 災害級の暑さ
- No.17 時短ハラスメント(ジタハラ)
- No.18 首相案件
- No.19 翔タイム
- No.20 スーパーボランティア
- No.21 そだねー
- No.22 ダサかっこいい/U.S.A.
- No.23 TikTok
- No.24 なおみ節
- No.25 奈良判定
- No.26 ひょっこりはん
- No.27 ブラックアウト
- No.28 ボーっと生きてんじゃねえよ!
- No.29 #MeToo
- No.30 もぐもぐタイム
まずもって、このノミネートがどういう基準で選ばれているのかが不明です。SNSなどのデータ分析がされた形跡もなく、ブラックボックスの中で選考者が鉛筆を舐め舐め決めているという昭和の匂いしかしません。
「ご飯論法」が選ばれる不思議
「ご飯論法」発案者は上西充子さんです。
「ご飯論法」は、安倍総理の答弁を揶揄った言葉で、いろいろ解説はしていますが、どうもピンとこなくてまったく流行しませんでした。
お年寄りを馬鹿にしたような元ネタであり、「ご飯論法」という言葉じたいネーミングセンスにも欠けていて面白くもなんともなく、説明に無理があるので、安倍総理が嫌いな人にしか受け入れられていないのが現状です。
「ご飯論法」というのは、裏を返せば、質問者の「質問の組み立て」が下手くそなだけの話で、回答者にとっては無茶苦茶な要求でもあるわけです。でも、そこには決して触れずに相手だけを批判するという言葉です。
「ご飯論法」について「そんなの知らない」とつぶやく方が多いのだが、知られていないのは、ある意味当たり前。
マスメディアが積極的に報じない国会答弁の不誠実さに対する認知を、草の根から広げようとして少しずつ拡散していったのが「ご飯論法」だから。マスメディアが最初に広げた言葉じゃない。— 上西充子 (@mu0283) 2018年11月8日
あと、「新語・流行語大賞」であって、「流行語大賞」ではないですから。
「ご飯論法」は、「流行語」ではなく「新語枠」だと思います。
流行なんかしてない、という批判が効かないのでプロパガンダだ、という批判にスイッチしたのだろうとは思いますが。— 上西充子 (@mu0283) 2018年11月8日
「ご飯論法」発案者の上西充子氏による解説では、与党の答弁を「不誠実だ」とか強調していますが、本来、別に「流行語」ではないものを「流行語」として騙して扱って、自らの偏った政治主張をテレビや新聞に拡散させる行為こそが、不誠実の最たるものではないでしょうか?https://t.co/Ydp7OSews1
— ニワカは相手にならんよ (@niwakaha) 2018年11月8日
ご飯論法をDBZで言うとこんな感じ?
悟空「悟飯〜、飯にすっど」
悟飯「はい、父さん」
悟空「おめぇ〜、パンばかりじゃ力出ねぇ〜ぞ」
悟飯「僕、朝はパン派なので…」
悟空「そっか」
:
悟飯「ただいま〜」
悟空「そういや今朝はご飯食べたっけか?」
悟飯「食べてません」— 宮本 茂 (@Miyamocchi_san) 2018年11月9日
「朝は何か食べましたか?」と聞けばいいのでは?
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) 2018年11月10日
これって、質問者の頭が悪いだけですね。「そんなこと聞いてません」じゃなくて、質問の仕方を変えろよ、という話です。
「ご飯論法」という言葉も陳腐です。もっとやり取りのチグハグさを表すウィットに富んだ言葉にしないと、流行りません。
「ご飯」という言葉だけでは、他にもいろいろな話題を連想してしまうのが致命的な欠陥です。
上西光子さんは、「新語枠」だから流行していなくてもかまわない、という主張です。
以下略ちゃんの「新語・流行語大賞」の解釈は、「新語」であってもある程度、流行ったものが選ばれるべき、というものです。違和感しかありません。
百歩譲って、「ご飯論法」が妥当だとして、「ストローマン論法」が選ばれていないのはどういうことでしょうか?
宇多田ヒカルさんの「ストローマン論法」
ネットで話題になった言葉といえば、7月に宇多田ヒカルさんのツイートから話題になった「ストローマン論法」「藁人形論法」があります。
有名無名問わず、誰かがメディアでした話から別の誰かが一言だけ抜き取って、文脈から切り離してネットで持ち出して、そこから少数派を除いた多くの人がソースの文脈を参照しようとしないまま自己投影に基づいた批判や擁護(つまり妄想)のたたき台にして論争が繰り広げられる現象にまだ名前ないのかな
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) 2018年7月17日
ストローマン、または藁人形論法という言葉を初めて知ってスッキリした!
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) 2018年7月17日
このツイートは5万リツイート、13万いいね超えですから、まさに大ヒットです。
「議論において対抗する者の意見を正しく引用しなかったり、歪められた内容に基づいて反論するという誤った論法」である「ストローマン論法」は、マスコミやネット、国会まで満ち溢れています。
この「ストローマン論法」がノミネートされていないのは、おかしいですね。
「ご飯論法」が選ばれるのであれば、「ストローマン論法」はその上位でしょう。
朝日新聞の「メタタグ」
8月には、朝日新聞が検索避けのタグ、いわゆるメタタグ、 noindex nofollowをネット記事htmlページの<head>~</head>内にこっそりと入れていたことが発覚して、大騒ぎになりました。
ITが活用される今、どうして「メタタグ」がノミネートされていないのでしょうか?
これほどITネット社会の新語としてふさわしい言葉はありません。ノミネートされないのは、朝日新聞への忖度でしょうか?
「時系列詐欺」
7月15日に、立憲民主党の蓮舫さんが、NHKテレビの討論番組に出演して、「平成30年7月豪雨」の自民党の対応を批判しました。
まだ災害が予想されていなかった7月5日の自民党懇談会を、しれっと大雨特別警報のあった「6日夜」と発言して、政権にダメージを与えました。
蓮舫さんの誤りは、個人的には、意図的だと考えています。
前後関係をあいまいにして、見ている人の錯覚を誘う。
これを以下略ちゃんのブログでは「時系列詐欺」と名付けました。
「時系列詐欺」は、けっこう炎上して、夕刊フジにも取り上げていただきました。
立憲民主党の蓮舫副代表の発言が、ネット上で大炎上している。15日のNHK討論番組で、「平成30年7月豪雨」の対応をめぐり…
1年前の豪雨記事を流すというフェイクもSNSに出現して、さらに「時系列詐欺」は拡大しました。
この「時系列詐欺」という言葉はヒットだと思っています。
あ、「関西生コン」というのもあったわ。
ニューメディア新語・流行語大賞ノミネート発表
大賞の栄誉に輝くのは?— Jirochan (@greenvale1974) 2018年11月10日