ニュースはまとめサイトのようなタイトルを付けてはいけない
ネットでのタイトルの守るべき基本としては次の2つがあげられます。
- 記事内容を32文字以内で簡潔に表現する。
- 登場人物の意見をきっちり正しく反映する。
32文字以内というのは、グーグルで検索表示された時に、あまり長いタイトルだと後半が省略されてしまい、何が書いてあるかよくわからなくなるからです。
「登場人物の意見をきっちり正しく反映する」は、ニュースであれば特に必要なものです。別な意味に間違われる可能性のあるタイトルは付けてはいけません。
特に、ネットではタイトルだけしか読まない人も存在しますので、そうした人に誤った印象を残してしまう可能性のあるタイトルは、まさしく「タイトル詐欺」といえるでしょう。
まとめサイトなどで、クリック目的で、内容とはギャップの大きいタイトルを付けた記事をよくみかけますが、ニュースサイトでそれをやっては、もはやニュースとは呼べません。タイトルと本体のギャップのあるものは、ニュースに似せた別の何かです。
誤読を誘うTBSニュースのタイトル
TBSが7月17日、大雨の夜に懇親会、麻生財務相「良いことだと思っている」、というタイトルのニュースを配信しました。
このタイトルでは、「5日の大雨の日の赤坂自民亭が良いことだと思っている」という内容にとらえることも可能です。
麻生財務相の実際の発言は次のようなものです。
「酒飲んでる話ばっかり(報道される)」
「若手の中でいわゆる派閥に参加していない無派閥の人たちなんかと、いろいろ懇親を深めていってコミュニケーションをよくするというのを目的としてるんですから、その人たちと私が話をするという意味で、極めて有効な手段のひとつだと思っています」
「僕は、あの時(5日)は行ってませんけど、ほぼ毎回行っていますからね、僕の場合は。いいことだと思ってますから。ああいう話にとらえられたのは甚だ残念ね」
麻生財務相は、「5日の赤坂自民亭には参加していないが、毎回行っている。それは無派閥の若手と懇親を深めていってコミュニケーションを良くするのが目的だから、良いことだと思っている。お酒の話ばかりの切り口で批判的に報道されるのは残念だ」と言っています。
麻生財務相は報道の赤坂自民亭に参加していないのですから、定期的に開かれている赤坂自民亭の開催目的について「酒盛り」などと報道されることが残念だ、と答えているだけのようです。
つまり「自分が毎回出席していたのは、良いことだと思っているから」と、赤坂自民亭について質問に答えているだけで、「5日の大雨の日の赤坂自民亭が良いことだと思っている」などとは発言していないのです。
それをTBSニュースは、
大雨の夜に懇親会、麻生財務相「良いことだと思っている」
というタイトルにしています。
このタイトルだと、「大雨の夜に懇親会」を開くことが「良いことだと思っている」と麻生財務相が発言したと錯覚する人がいるはずです。
麻生財務相は、「自分が出席していたのは良いことだと思っているから」、と発言しているだけですから、出席をしていない「大雨の夜に(懇親会)」という修飾語を付けることじたいがイカサマですね。
人に誤った印象を残してしまう可能性のあるタイトル。「タイトル詐欺」といえるでしょう。
「麻生が変なこと言ってるぞ」と言わんばかりのTBSのタイトルのこの記事には、次のようなコメントが付けられています。
TBSは日本語がおかしいですね。
【報道が酒飲んだ話ばっかり】懇親会『赤坂自民亭』について、麻生太郎財務大臣「(報道が)酒を飲んだ話ばっかりにつくっている。いろいろ懇親を深めるって言ってコミュニケーションをよくするというのを目的としてる。いいことだと思ってますから、ああいう話にとらえられたのは甚だ残念ね」 pic.twitter.com/YguS59JdLQ
— Mi2 (@YES777777777) 2018年7月17日
他社のニュースタイトルは
ちなみに、産経ニュースのタイトルは、
「有効な会で批判されるのは甚だ残念」麻生太郎財務相が自民懇親会批判に
麻生太郎財務相は17日の閣議後会見で、西村康稔官房副長官が西日本で記録的な大雨の予報が出ていた5日夜に安倍晋三首相らと…
朝日新聞ですら、
麻生氏、赤坂自民亭の報道「酒飲んだ話ばっかり、残念」
あの朝日新聞ですら、これですから、いかに、「大雨の夜に」を付けたTBSのニュースに悪意があるかがわかります。