YouTuberのヒカルさんVALUの自社株買いを発表
8月15日から炎上していたしていた人気YouTuberのヒカルさんら株式会社VAZ、NextStage関係者4人が起こしたVALU騒動の顛末について。
ヒカルさんが売った株(VALU)の買い戻しを発表
17日にヒカルさんが、ヒカルさんが売りつけた過去取り引きの最高価格で希望者全員からVALUを買い戻す自社株買いを発表しました。いちおうこれで15日に発生したVALU騒動は収束に向かうものと思われます。
自社株買いスタートしました。
よろしくお願いします。 pic.twitter.com/oXI10uMcxU— ヒカル (@kinnpatuhikaru) August 17, 2017
VALU(バリュー)とは
VALU(バリュー)とは、2017年5月31日にリリースされたばかりの、仮想通貨ビットコインで「人」に投資できる仮想株式「VA」と、その売買の場を提供・運営する取引所です。取り引きはすべてビットコインで行われます。
誰でもVALUを発行することができます。FacebookとTwitterのフォロワー数で最初の時価総額が算出されるそうで、試しに以下略ちゃんが時価総額を算出してみたら0.3BTCでした(上場はしません)。これを分割して公開するようです。
これが10倍、100倍、1000倍と値上がりしていくわけです。
株式の場合は、配当や株主優待などで利益が還元され、株価が値上がりする裏付けがありますが、VALUの場合は配当に当たるものがないので値上がりする直接の理由がありません。
そこでVALUはVALURE(株主)に「優待」(特典)を出せることになっています。「優待」を付けることは義務ではありませんが、「優待」があると買い注文が入りやすく値上がりするようです。
ヒカルさんたちの3つの問題点
ヒカルさんたちの今回のVALUでの行動には大きく分けて3つの問題点がありました。
- ヒカルさんが、「優待」などで買いを煽ってストップ高を繰り返し、高値で集まった買い注文に需給バランスを崩す大量の売り物をぶつけた。
- 関係者である井川さんが上場初日の10日に品薄のヒカルさんVALUを買い付けて(VALUは株式と違って相対取引なので売る相手を選ぶことができる)、値上がりした15日に1VA=約19000円で持ち株全株を売り抜けた。
- ヒカルさん、「禁断ボーイズ」いっくん、ラファエルさんの3人は、1日に数十、数百の取り引きしかない流動性のないVALUで、薄い板に全発行VAの約5万株(すでに売却済みVAを除く。ラファエルさんは2万株)の売り物を出してフタをして、それ以上の価格には値上がりしないようにして投げ売りを誘い、価格の値下がりを誘導した。
ヒカルさんのVALU価格の値下がり誘導について
「売り」と「買い」の注文状況の一覧は、「板情報」(「気配情報」ともいう)と呼ばれています。
VALUの場合は、「売り手」は発行者が中心で、ディトレーダーがいるわけでもありませんから、板は閑散としています。
0.04034475BTC(約1万9千円)にある約4万7千株の売り(一部は一般参加者)がヒカルさんの売り注文です。
これは15日に集まった買い注文にぶつけた売り物の残りで、この時点で市場には約3千弱のVALUが流通していると考えられます。
この価格以上に値上がりするためには、この薄い板の注文で、この約4万7千株の売り(約9億円)を消化しなければならず、仮に消化したとしても今度は5万株の売り需要が発生するために高値での売買はさらに難しくなります。
この大きな売り板があるかぎり、他の参加者はその下の価格で売り注文を出すようになります。結果として値下がりしていきます。
そうして嵌められたと思った参加者が見切り売りを出したものが0.04034475BTCより安い価格に出されている売り注文です。
16日は、0.03025856BTC(約1万4千円)で3桁の数量のVALU取り引きが成立したようです。一番たくさん取り引きが成立したのは15日の0.04034475BTC(約1万9千円)ですから、16日の売り手の多くは損失を出したものと思われます。
VALU運営のお知らせと17日の板状況
2017.8.17
ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)及び井川氏に関する対応について
ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)及び井川氏について、下記対応をさせていただくことを決定いたしましたので、ご報告させていただきます。
(1)ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)のVAについて
上記3名より「VAを自身で買い戻したい」との意向に対し、ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏(禁断ボーイズ)のVAについて利用者保護の観点から特別措置として、該当VAへの現在の売買注文をすべてキャンセルとさせていただきます。
(2)一連の取引で発生した手数料の扱いについて
一連の取引で発生した手数料収入については、VALUがミッションとしている「人の価値を発掘し、高める。」と類同の意向を掲げる組織へ寄付させていただきます。
寄付先及び最終寄付額については、確定後、あらためてご報告します。
(出典:VALUアップデート・お知らせ)
0.06BTC(約2万9千円)の買い注文がヒカルさんの自社株買い。
16日に売ってしまった人は救済されない
ヒカルさんはVALUへの投資で利益を得ようとする人たちを批判しています。そうした投資家を減らす目的で今回の行動を行ったようですが、大量の売り物を並べて値下がりを誘導するのは明らかに株価操縦で、VALUの市場と信頼を歪める行為です。ちょっと考えが浅かったのではないかと思います。
今回の自社株買いで、多くの人は利益が出て一安心というところでしょうが、16日に嵌められたと思って見切り売りしてしまった人は損失が確定していますので納得はできないかもしれません。そうした人たちの不満はくすぶり続けるかもしれませんね。
今回の騒動でVALUには、インサイダー取り引きが禁止されていなかったり、株価操縦が可能だったり、ルールやシステムにいくつかの不備が見つかりました。きちんと検証して、より良いものに改善されていくといいと思います。