この記事はネタバレが含まれます。
まだ映画をご覧になっていない方は、この先を読まないでください。
「安倍政権の退陣しかありません」
国民民主党の衆議院議員、山井和則さんが「フィクションでなく、ノンフィクションではないか?」とツイートされる映画「新聞記者」が6月28日から上映されています。(※2019年6月3日、国民民主党に離党届を提出したものの受理されず除籍処分、立憲民主党会派に入会する意向)
映画『新聞記者』を、先日、観ました。政権を批判すると、時には身辺調査をされ、左遷や失脚させられる。それにより、不祥事をもみ消し、政権を維持させる。この映画は、フィクションでなく、ノンフィクションではないか? pic.twitter.com/n29uEb0rzn
— 山井和則 (@yamanoikazunori) 2019年7月1日
映画「新聞記者」を見ました。原作者の望月衣塑子さん似の女性記者が内調を中心とした官邸の権力に逆らって真実を報道しようと奮闘。官邸側は人事権を使って官僚に責任を押し付け、都合の悪いニュースをつぶそうとする。安倍政権そのものです。報道の自由を回復するには安倍政権の退陣しかありません。
— 菅 直人 (Naoto Kan) (@NaotoKan) 2019年7月1日
菅直人 元総理は、何をおっしゃっているのかよくわかりませんので、触れないことにします。
ノンフィクションとは
ノンフィクション【nonfiction】とは、三省堂大辞林によれば、
虚構によらず事実に基づく伝記・記録文学などの散文作品,または,記録映画など。(三省堂大辞林)
そんな「創作のまじらない」ノンフィクションだとする映画「新聞記者」に、すごいシーンがあるようです。
ツイッタークソリプ攻撃
この映画、公開日に見ましたが悪玉組織の内閣情報調査室が暗いフロアで世論操作のために人海戦術ツイッタークソリプ攻撃を行うという漫画みたいな話しでしたよ。自分達がくだらないステマとかやってるから、ああいう発想になるのでしょうね。 https://t.co/bcDNorMLbO
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
内閣情報調査室が暗いフロアで世論操作のために人海戦術ツイッタークソリプ攻撃www
嘘でしょ?
そんなデタラメな映画なんですか? https://t.co/fvbJ5LRVsJ
— 以下略ちゃん™ (@ikaryakuchan) 2019年7月1日
それが本当なんです。省庁の不祥事や伊藤詩織に模した人物の告発会見があると、パソコンがずらりと並ぶ暗いフロアで悪代官みたいなボスがデマを流すよう直接指示するんです。与党ネットサポーターに流せって台詞もありました。パンフも買いましたが、こういう事言ってるプロデューサーが作った映画。 pic.twitter.com/jj7Rij3ebR
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
ちなみに、内閣情報調査室はこんな怪しい組織だぞ!と解説するのがなんと前川喜平(本人)です。イソ子らと出演した討論番組が劇中パソコンで流されるという形での出演。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
映画本編で、一点だけ現実に忠実なところがありましたよ。国会だか官邸だかの前で行われたデモのしょぼさ。エキストラをケチったからでしょうけど。そのシーンでイソ子本人らしき人物がアップになります。 https://t.co/gld3unjAxp
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
では遠慮なくどんどんいきます。ただこの映画、サスペンスとしてお粗末で展開が簡単に読めるのでネタバレ要素は真面目にほぼないです。それはさておき、初っぱなから、解説がわりにイソ子ら本人が出演する討論番組を垂れ流すやっつけ仕事でスタート。で、この討論番組流す手法が何回も出てくる。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
主人公役は韓国人女優ですが、日本語は聞いてていたたまれなくなるくらいカタコト。映画制作開始の頃、日本語は日常会話がなんとかできる程度とか語る記事がありましたが、習得は間に合わず。母親が韓国人という劇中設定はストーリー上の意味はなく、カタコトな日本語の言い訳用でしょう。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
見ててコケそうになったシーン。不正の証拠となる省庁の極秘文書を求めて松坂桃李演じる善玉官僚が旧知の官僚を訪ねるんですが、部屋で待たされてる間に棚や机をあさりだす。そんな所に超極秘文書があるかよと思ってたら、鍵もかけてない机の引き出しにその文書があり、スマホでバシャバシャ撮影。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
「俺たちはマークされている」と言いながら、主人公と見通しのよい往来で歩きながら会い長話をする善玉官僚(内閣情報調査室員でもある)。しかも、会う前に周囲の目に気を付けろと電話で主人公に警戒を促すのですが、その時点で既に主人公のすぐ前にいる。サスペンスとしてガバガバ。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
ご都合主義極まる設定
・善玉官僚・杉原(松坂桃李)は悪玉組織の内閣情報調査室員
・内調の差し金で自殺した官僚が信頼する元部下でもある
・主人公の新聞社に告発文書を送ったのはその自殺官僚で、杉原は官僚宅で文書原本を難なく入手
・別の証拠は杉原の元同僚だかが持ってて前述の通り難なく入手 (続— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
この、劇中の事件の証拠や鍵となる人物、悪玉組織のボスの全てが身近にいて難なく証拠を入手する善玉官僚。主人公の記者はこの官僚と自殺した官僚の葬儀所前で偶然にも接点ができて、次々とネタを入手し最後にはスクープをものにするというむしのいいお話。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
終盤に主人公はスクープをものにするんですが、少し気になった台詞があります。他紙も後追いしてるぞと「東都新聞」の記者が興奮するシーンで「読売、朝日、毎日も続いています」と語る。企業名や人名はずっと架空のものだけ出てきたのにここだけ実名。創作の世界で競合に勝ち誇るようでちょっとダサい
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
この映画の広告に「衝撃のラスト!」とかいう宣伝文句がありますが、あれは単にラストシーンの台詞の音声を流していないだけです。観客に想像させようとするパターン。ストーリーがお粗末かつ、そのシーンも台詞の内容はまああれかこれかなと普通に想像つく程度の展開だったので正直どうでもいいです。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
前述の内閣情報調査室ツイッタークソリプ部隊ですが、「東都新聞」の記者が訳知り顔に、内調はネットカフェ難民を工作に使っているという噂もあるとか言うシーンあり。劇中の内調がそうなのかは明確には描かれていません。服装は皆スーツでしたが。でも一人エリートっぽくないハゲのおっさんがいたかな
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
前川喜平をモデルにしたらしい官僚も出てきます。政府に都合の悪い人物だから、女性野党議員との関わりをスキャンダル的に報じられたような描かれ方。現実の前川の顛末(出会い系バー通いは貧困調査のためなのに陰謀でスキャンダラスに報じられた!と)をそのまま映画化するのは無理と判断されたもよう
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
この映画、加計学園の事案や伊藤詩織の告発を模した各案件を真っ黒の不正や犯罪として描く一方で、前川喜平を模した官僚の女性スキャンダルについては潔白かどうかは明確には描いていません。はめられたっぽくは描いていますが。ここはちょっと不思議でしたね。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
前川喜平を模したらしい官僚に主人公が取材するシーンの後、ディスプレイに映った前川喜平本人(討論番組の映像)が登場。内閣情報調査室はこんなに怪しい組織だと長々と説明します。この演出、誰か止めなかったのかな。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
暗いフロアにパソコンが並ぶ内閣情報調査室のツイッタークソリプ部隊ですが、この映画の脚本家の一人が過去に「特命リサーチ」とかを手掛けていたと知ら、非常に納得しました。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
内心全力でツッコんだシーン。
「東都新聞」に送られてた告発文書の原本が、自殺した官僚の机から見付かる。主人公と善玉官僚(松坂桃李)の間で記事にするのか、いやまだできない、みたいなやりとりの中で「証 拠 が な い か ら」
いやいやイソ子さん、あんたら散々証拠もなく記事書いてるでしょ
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
他にも出鱈目なところ等たくさんあるのですが、ひとまず今日はここまでにします。イデオロギーはさておき、バカ映画としてなら楽しめるかというとそれも難しい印象。出来事やメッセージを全部台詞で説明するし、先述の討論番組流して解説任せるやっつけ仕事とか、ダラダラしたシーンも多いですし。
— 徳本 (@tokumoto0) 2019年7月1日
これを映画のエンドロールに入れないとダメな世の中に…’`,、(‘∀`) ‘`,、 pic.twitter.com/hPxSY1yMOJ
— 濃い茶 (@Super_xx) 2019年7月1日
個人的には、原作の「新聞記者」の「留学先のオーストラリアの観光地ダーウィンの湖の、岩の上から観光客がダイブする場所で、望月さんが足を滑らせて転落、頭を大けがする事件」が一番印象深いのですが、映画でもこのシーンが描かれているのでしょうか?
追記
映画には、そのようなシーンはないとのことです。残念です。
ともかく、架空の話と現実が区別できない人たちが一定数、存在していることには戦慄します。