恣意的な編集とは、「例えば、編集者の都合を反映した一貫性のない内容や、論理的必然性が見られない内容など。(はてなキーワード)」
とされています。
「編集の自由」の元にNHKが行ったこと
NHK総合の「クローズアップ現代+」で「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の中止を特集する番組が9月5日に放送されました。
当ブログでも独自に、番組内容を全文、シナリオ形式で書き起こして分析してみたところ、一方的な主張を押し付けるだけの「偏向報道」だったのではないかという結論に至りました。その理由についてまとめてみます。
NHKが取り上げたテーマは「電凸」です。
【今夜10時】
「表現の不自由展・その後」には、電凸と呼ばれるネットや電話による抗議の集中が起こりました。
さらには、展示の中止が決まったあとにも、無関係の施設を標的に「ガソリンを着火させます」という脅迫が寄せられていたことも分かってきました。#クロ現プラスhttps://t.co/8YiAOH7FAC— NHK「クローズアップ現代+」公式 (@nhk_kurogen) 2019年9月5日
「クローズアップ現代+」の「表現の不自由展・その後」 中止の波紋の企画趣旨は、次のように読み取れます。
- 企画展「表現の不自由展・その後」は脅迫を含むたくさんの電凸が寄せられたことによって中止になった。
- 表現の自由は大切だ。
「編集の自由」の行使
この企画趣旨に視聴者を誘導するために、次のような「編集の自由」が行使されたと個人的に感じています。
- 昭和天皇に「☓」印を付けた作品や、昭和天皇の写真をバーナーで燃やして灰を踏みつける映像はカットして視聴者から隠す。(問題の本質の隠蔽)
- 「天皇と皇族を消す」作品の「空気」では、Wikipediaにあるネタ元のご皇室の家族写真は説明しない。(問題の本質の隠蔽)
- 電凸で抗議をした人としてインタビューをした、高校生と大手企業社員のコメントの発言の一部を切り取り、主旨をねじ曲げて利用。(切り取り捏造)
- 抗議する人の場面だけ、「不協和音」の効果音を重ねる。(違和感の演出)
- ネットで大炎上した、津田大介芸術監督と東浩紀企画アドバイザーが「やっぱり天皇が燃えたりしてるんですか?」と面白半分に語っている動画は見せない。(問題の本質の隠蔽)
- どのシーンでも、抗議者⇨展示再開を求める側 の順になっているので、後者が結論のように見える。(編集技術)
昭和天皇に「☓」印を付けた作品や、昭和天皇の写真をバーナーで燃やして灰を踏みつける映像はカットして視聴者から隠す
「クローズアップ現代+」では、「そのほか、昭和天皇の写真をコラージュした作品を燃やす映像などが展示されました。」と簡単なコメントで紹介しただけで、映像は「慰安婦像」と「慰安婦の写真」ばかりを映していました。
大浦信行さんの「遠近を抱えて」は、昭和天皇の肖像を使って作ったコラです。
この作品の焼却シーンを加えた映像作品「遠近を抱えてPartⅡ」も展示され、一番の問題となった昭和天皇の肖像をガスバーナーで燃やして、灰を踏みつけるヘイト(宗教観の冒涜)シーンが含まれています。
嶋田美子さんの「焼かれるべき絵」は、Wikipediaにもある昭和天皇の写真に「☓」印を付け、焼いていく過程と、焼かれて粉々になった作品が展示されています。


どちらも、「天皇」に対する凄まじい憎悪があふれています。
これらの日本人の宗教観を傷つけるヘイト作品の映像は、番組内では一切ありませんでした。
慰安婦像の展示よりも、こちらの方が激しい抗議に晒されたのです。
理由は簡単です。門田隆将さんがおっしゃっているとおり、視聴者にNHKの主張が理解されなくなるからです。
それを報じれば、自分たちの主張の方が「間違いである」ことが白日の下に晒されるからだ。(クロ現「表現の不自由展」特集で痛感した「NHKという病」)
NHKは「しっかり議論していく必要がある」と言っていますが、「日本人の宗教観」について、「しっかり議論しろ」とはどういう意味でしょうか?
「表現の不自由展・その後」の展示は、NHKが内容を正確に放送できないような展示内容だった、ということが答えのすべてです。
「天皇と皇族を消す」作品の「空気」では、Wikipediaにあるネタ元のご皇室の家族写真は説明しない
天皇批判の作品の中で、「空気#1」の小泉明郎さんだけは、番組に登場、持論を展開されています。
しかし、NHKは、「並んだいすの前に人影を描き、見る人の心の中にある皇室の存在を浮かび上がらせるという作品。」と紹介するのみで、作品に込められた「皇室と天皇憎悪」の意味を正確に伝えていません。
元ネタの写真はWikipediaにもあるのですから、元ネタも比較としてきちんと紹介すれば一目瞭然です。そんな簡単なことすらしていません。

NHKの番組では、作品が正しく理解できません。
「並んだいすの前に人影を描き」ではなく、正確な内容は、「ご皇室の家族写真から、人物を消し去った作品」です。
電凸で抗議をした人としてインタビューをした、高校生と大手企業社員のコメントの発言の一部を切り取り、主旨をねじ曲げて利用
これが一番罪深い編集です。
番組では「電凸」、電話での抗議が「悪」というイメージで構成されています。
その「電凸」をしたという人を2人取材して、登場させます。
表現の不自由展実行委員会メンバーや、出展作家の主張はそのまま放送しているのに、インタビューに応じた電凸で抗議した人の主張は放送せずに、NHKが欲しい言葉だけを切り取って編集しています。
16歳の高校生のインタビュー
最初は16歳の高校生の発言の切り取り。
高校生
「電話でなら顔もばれないですし、自分の姿が見られることもないので。集団心理っていうんですか、ひとりでやるより、みんなでやったほうが何か許されるという雰囲気はある。自分はそういうのはよくないと思っているんですけど。」(「表現の不自由展・その後」 中止の波紋)
番組だけ見ていると、高校生は「自分ではよくないことだと思いながら、集団心理で電凸してしまった」とインタビューで語っているように見えます。
ところが、実際のインタビューでは、「何故過激な事を言う人間がいるのか」とスタッフに質問されたので、「集団心理でやる人間もいると思うが、それはごく一部。だから自分は電話でも丁寧に話すし、節度をもって意見を述べる。過激なことは言わない方が良い」と一般論として過激な抗議をする人を批判したのに、その部分だけを切り取って、「高校生自身の電凸への反省」であるかのように編集されていたのです。
クロ現に出た高校生の方から、連絡を頂きました。
NHKが、余りに酷い切り取りをしている、と怒っています。実際にNHKの名古屋放送局に行って、2時間ほどインタビューを受けたそうです。
— 吉田康一郎 (@yoshidakoichiro) 2019年9月5日
質問の内容は、
・何故電凸をしたのか
・何故展示をやめさせようという旨のツイートをしたのか
・イイネやリツイートが増えると嬉しいか
・何故過激なことを言ったり脅迫状を送る人間がいるのか
・何故表現の不自由展は不適切だと思ったのか
(他にも多数)それらに答えていった。
— 吉田康一郎 (@yoshidakoichiro) 2019年9月5日
「何故過激な事を言う人間がいるのか」と聞かれたので、
「集団心理でやる人間もいると思うが、それはごく一部。だから自分は電話でも丁寧に話すし、節度をもって意見を述べる。過激なことは言わない方が良い」
と答えた。
沢山の質問に答えた他の内容を全部カットされて、あの部分だけ使われた。
— 吉田康一郎 (@yoshidakoichiro) 2019年9月5日
一般論を聞かれて答えたのに、自分がそう考えているかの様に印象操作されている、と訴えています。
実際、NHKのウェブサイトでは、彼の考えと行動である様に記載しています。
これ、誘導尋問や名誉棄損の可能性もあり、検証が必要なのではないですか?https://t.co/CB4WBEnGYY
— 吉田康一郎 (@yoshidakoichiro) 2019年9月5日
大手企業社員のインタビュー
大手企業社員のインタビューも、「有名人が怒っているから同調してしまった」という印象操作として使用されています。
大手企業社員
「高須クリニックの高須院長が、あの人、結構怒ってらっしゃったんです。やっぱり税金を投入して、そういう政治的なものをアピールするのはおかしいんじゃないかと。さすがに言わせてもらおうかなと思って。」一方で、男性は作品について詳しくは知らないと話しました。(「表現の不自由展・その後」 中止の波紋)
大手企業社員の電凸も、まるで主体性のない行動であったかのように編集されています。
以下略ちゃんのDMでの取材に、スタッフに「電凸に誰か有名人なりのツイートの影響を受けたりはしたか?」と聞かれたので名前を出したら、こんな使い方をされてしまった、と答えてくださいました。
高須院長、私はあの取材を受けたものです。
今回の高須院長の名前を出してしまったことは弁解のしようもなく、申し訳ありません。
「今回の電凸に関して、例えば有名人の誰かのツイートの影響を受けたとかはありますか?」
と聞かれたので、その時は本当に高須院長の怒りのツイートを見ていたので— はげぼうず☆いい気分☆ (@hagebouzu07) 2019年9月6日
ありがとうございます。高須院長の太平洋以上の広い心に救われます。
取材を受けたことは後悔していません。俺もそこまでバカではないので、こうなるだろうなと思っていた使われ方をされていたので、改めて身を以てテレビの怖さ、ズルさを知るいい体験になりました。— はげぼうず☆いい気分☆ (@hagebouzu07) 2019年9月6日
抗議する人の場面だけ、「不協和音」の効果音を重ねる
番組では、電話で抗議が寄せられるシーンや、電凸をした人のインタビューのシーンだけ、不協和音の効果音をのせています。
「不協和音」は聞くだけでなんだか不快、不安になるという効果があります。
この不協和音の効果音は、実行委員会のメンバーなどのシーンでは、ありません。
逆に、キャスターの武田真一さんと、ロバート・キャンベルさん 、岡村幸宣さんが「表現の自由は大切だ」と論評する場面では、軽やかな効果音になっています。
こうした細かい技巧にもNHKの意図が伺えます。