2019年の「世界報道自由指数ランキング」が発表されました。これはパリに本部を構える国際NGO団体「国境なき記者団」(Reporters Without Borders=RWB)が毎年、発表しているものです。
https://rsf.org/en/ranking/2019
日本は、昨年比+0.72で、国別ランキングでは昨年と同じ180カ国中67位だとしています。
日本の「報道自由指数」が低い理由
その年次報告書では、理由を次のように書いています。
- 「キシャクラブ」(記者クラブ)の制度は、フリーランサーや外国人記者を差別し続けています。
- ソーシャルネットワークでは、ナショナリストグループは、政府を批判的な、あるいは福島第一原発事故や沖縄での米軍の存在などの「反愛国心」の主題を扱うジャーナリストに嫌がらせしている。
- 政府は、「特定秘密保護法」についての議論を拒否し続けています。
朝日新聞には報道の自由がない
朝日新聞の記事では、3つの理由のうち、1番目の「記者クラブ」制度の問題については、報道しない自由を行使。
沖縄の米軍基地など「非愛国的な話題」を取材するジャーナリストがSNSで攻撃を受けている、と指摘した。(朝日新聞デジタル)
と理由の一部だけを、記事にしています。
きっと、朝日新聞では、「記者クラブ」について報道する、報道の自由がないのでしょう。
「報道の自由度ランキング」日本の順位、前年と変わらず:朝日新聞デジタル https://t.co/SyEabX9IP8
— 朝日新聞社会部 (@Asahi_Shakai) 2019年4月18日
偏差値にしてみると
この指数は、日本人には馴染みが薄いので、偏差値にしてみたというツイートがありました。
「報道の自由度ランキング」日本の順位、前年と変わらず:朝日新聞デジタル https://t.co/5uBv756TWm … 順位ではわかりにくい?ので偏差値にしてみました。日本54、米国56、韓国56、露40、中共22、北鮮19、台湾56(いずれも小数点1位四捨五入)。最高は1位~4位が67でした。
— dead.drank.death (@d_drank_d) 2019年4月24日
よく考えてみれば、「指数」に意味があるのであって、それを国別に並べた順位なんて意味がないですよね。
日本の偏差値は54だとすれば、だいたい岡山理科大獣医学部の偏差値と同じくらいです。
望月衣塑子記者を擁護
このNGO団体は、3月に、例の「中2女子の署名」を取り上げて、望月衣塑子記者を擁護する声明を出したことで話題になりました。
https://rsf.org/en/news/japan-government-must-not-judge-relevance-press-questions
「世界報道自由指数」は、各国のジャーナリストや法律家、人権活動家のアンケートに基づいて作成したとされていますが、アンケートに答える選ばれたメンバーがそういう人たちなのでしょう。
菅官房長官に質問
その東京新聞の望月衣塑子記者が、4月24日に、「国境なき記者団」の「世界報道自由指数ランキング」を取り上げて、菅官房長官に質問をしました。
東京新聞・望月衣塑子「報道自由度ランキングで日本は67位。国境なき記者団は非愛国的な取材をする記者がSNSで攻撃を受け、憎しみが暴力となり恐怖を高めていると。SNSでの記者への攻撃に政府としての対応は?」菅義偉官房長官「現実的にない」
と、国民の代表とされる記者さまが仰ってます。 pic.twitter.com/4RnrTIYcqV— Mi2 (@YES777777777) 2019年4月24日
記者クラブの問題については触れていません。やはり、記者クラブの特権で質問している望月衣塑子記者にも、「記者クラブ」について質問する、報道の自由がないようです。
SNSでの攻撃
SNSでの攻撃といえば、望月衣塑子記者は、DHC(大学翻訳センター)という会社を、「Death and HateCrime Company(略してDHC)」だというデマをリツイート拡散して攻撃していました。
これは事実と異なります。そのような会社名ではありません。従業員数3030名の会社への単なる誹謗中傷です。
気に入らない会社の場合は、SNSでのデマ攻撃も「憎しみが暴力となり恐怖を高め」ることはないという考えなのでしょう。
元のツイートのフォロワーは869人、それをリツイートした望月衣塑子記者のフォロワーは10万1844人です。
望月衣塑子記者の拡散力がピカイチです。
もうひとつの自由度ランキング
別のNGO団体、「フリーダム・ハウス」は、1941年にナチ・ドイツに対抗して自由と民主主義を監視する機関として設立され、こちらも毎年、年次報告書を発表しています。
Freedom of the Pressは、米国に拠点を置く非営利団体 Freedom Houseによる年次報告です。あらゆる国の報道機関や世界中の重要な紛争地域で享受されている自由のレベルと社説の独立性を主観的に測定することが知られています。自由度は1(最も不自由)から100(最も自由)の範囲で採点されます。基本に応じて、国は「Free」、「Partly Free」、または「Not Free」に分類されます。(英語版ウィキペディア)
国際NGOフリーダム・ハウス世界自由度ランキング発表、アジアでは日本・台湾がトップ2
2018年の世界各国の自由度を格付した報告書「世界自由度2018」では、日本は96点を獲得し、アジアで一番自由な国と評価されています。
望月衣塑子記者の引用した、NGO団体「国境なき記者団」は1985年に設立されました。
Googleトレンドのスコアでは、「フリーダム・ハウス」ランキングが「国境なき記者団」ランキングを圧倒していて、グローバルな認知度では「フリーダム・ハウス」の方が高いそうです。
「フリーダム・ハウス」のランキングは、日本の報道の自由度が高く評価される傾向がありますが、なぜか、こちらはほとんど日本で報道されることはありませんし、望月衣塑子記者が質問に引用することもありません。