望月衣塑子記者VS菅官房長官 1月9日午前
2018年1月9日(火)午前の菅官房長官記者会見での東京新聞 望月衣塑子記者の質問全文です。
生活保護基準の引き下げについて
昨年の12月に決めました生活保護基準の引き下げについてお聞きしたいと思います。
保護基準の引き下げ、これ低所得者層の基準に習い、合わせたということですが、2013年の8月からですね、すでにこの基準引き下げが段階的に行われておりまして、すでに生活保護世帯の平均の家計6%のカットが行われております。現在は算定のやり方は子供の世帯、子供いる世帯ほど結果的に多く削減されるという計算方法がとられておりまして、あの、2013年に成立している子どもの貧困対策基本法の理念とも矛盾したものになっているのではないかといわれております。
(事務方「簡潔にお願いします。」)
はい。で、まあ、年間160億円が削られていくということで、影響のある200万人の生活保護受給者の中から、ま、やめてほしいという声もあがっておりますが、政府としてこの対応に問題がないというご見解でしょうか?
いずれにしろ調査結果にもとづいて対応するとともにですね、そうしたことについても配慮して対応する予定だというふうに報告を受けています。
感想
本日は質問者が多く、望月衣塑子記者にだけ長い時間を割り振る余裕がなかったようです。質問は1問だけで終わりになっています。
生活保護基準の引き下げについて
自身のツイートで引用した記事内容をそのまま官房長官に質問したようです。
導入するイージス・アショアは1基1200-1300億円に跳ね上がると聞く。政府は防衛費増やす中、手を差し伸べるべき人々への援助削る。おかしくないか。#大西連 氏「引き下げ2013年から生活保護世帯平均6%がカット。子のいる世帯ほど多く削減『子の貧困対策基本法』の理念と矛盾」https://t.co/lsnGwnTQkC
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) 2017年12月27日
元記事では、生活保護費と防衛費を比べる記述はありません。望月衣塑子記者は、防衛費との比較にしてしまって、このツイートに寄せられているリプライコメントでは余計な反発を招いています。
政府を攻撃するために防衛費と比較しているのかもしれませんが、生活保護費と防衛費はまったく別のものですから、防衛費を削って生活保護費を増やせというような主張では共産党、社民党系支持者以外には多くの人の賛同は得られないでしょう。
生活保護費は無料の医療費と合わせて議論されるべきですが、医療費の部分が議論されたことがありません。
また、国民年金の支給額は、平成29年度で満額で64941円です。
厚生労働省が2017年3月に発表した「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際に支給されている「国民年金の年金支給額は、平均月額で5万5千円」だそうです。
自営業などの場合は、この金額でやりくりしているわけで、生活保護の都市部の高齢単身世帯 (65歳)、現行基準で79790円とは大きな開きがあります。さらに生活保護は医療費が無料です。
こうした議論に必要だと思うのですが、なぜか「ひとりが生活するのに最低限、いくら必要か」という具体的な金額モデルはどこにも見当たりません。まずこの金額モデルを設定して、その上で、国民年金と生活保護費の妥当な金額について総合的に議論していくべきではないでしょうか。