記事の中にソースが付いていない事例があったら検証してみよう
引用されている事例が正確とは限らない
フェイクニュースの種類にもいろいろあります。記事の中でさりげなく取り上げる「事例のひとつ」に事実とはいえないものを紛れ込ませるという手法もフェイクのひとつです。
政策論議よりも人格攻撃が目立つ民進党の有田芳生氏が、7月20日に朝日新聞のコラムを引用して安倍首相の人格攻撃をしていました。
(ザ・コラム)対話する力 土に潜ってわかったこと 秋山訓子:朝日新聞デジタル https://t.co/7WPTCYoXtH 佐々木憲昭元議員の首相との間のエピソードが面白かった。小泉、福田元首相と安倍首相の対比は、それぞれの人格を端的に示している。人間的深みの問題だ。
— 有田芳生 (@aritayoshifu) July 20, 2017
秋山訓子「安倍晋三は相手の話を聞かない」
朝日新聞の「(ザ・コラム)対話する力 土に潜ってわかったこと 秋山訓子」。
「自分の言いたいことだけ言って相手の話を聞かず、質問に答えない姿勢が非常に目立った。だから建設的な議論にならない。」と安倍晋三首相の「対話する力」について、疑問を投げかける朝日新聞編集委員の秋山訓子さんが書くコラムです。
ネットで「秋山訓子」を検索していただければわかりますが、この朝日の記者も偏向バリバリのようです。
ですが、今回はコラムの内容については突っ込みません。
気になったのは、記事中で秋山訓子さんが、安倍晋三首相の人格攻撃に使用している2つの事例です。
テレビの生中継中、キャスターのインタビュー中なのに、批判されるとイヤホンを外したこともあった。
その極め付きが、東京都議選前日の東京・秋葉原での「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という街頭演説だと思う。
((ザ・コラム)対話する力 土に潜ってわかったこと 秋山訓子)
事実のように例として取り上げている2つの事例ですが、このコラム記事にその出典はありません。
- テレビの生中継中、キャスターのインタビュー中なのに、批判されると安倍首相がイヤホンを外した
- 東京都議選前日の東京・秋葉原での「こんな人たちに負けるわけにはいかない」という街頭演説
この秋山訓子さんの2つの記載について検証してみます。
2については、言うまでもなく、
安倍首相の演説「皆さん、あのように、人の主張の、訴える場所に来て、演説を邪魔するような行為を私たち自民党は絶対にしません。私たちはしっかりと政策を真面目に訴えていきたいんです。憎悪からは、何も生まれない。相手を誹謗中傷したって、皆さん、何も生まれないんです。こんな人たちに、皆さん、私たちは負けるわけにはいかない。都政を任せるわけにはいかないじゃありませんか!」
「演説を妨害するような行為、誹謗中傷する人たちに、私たちは負けるわけにはいかない」という「公選法で禁止されている選挙演説の妨害行為」を「選挙選の戦いの演説として」批判した安倍首相の文脈の一部だけを切り取って、「批判する有権者をこんな人と言った」と誤読させる目的で流布されている内容です。
ソースはリテラだった
では、1は何でしょうか?
調べてみると朝日新聞のコラム「イヤホンを外した」のソースは、偏向メディアのリテラの2015年12月15日の記事
安倍首相がZERO村尾にブチギレ完無視!古舘は口封じ状態!大荒れ選挙特番
だったことがわかりました。
個人的意見ですが、リテラのほとんどの記事は、導入部は事実を元に記事を書き始めますが、途中からは歪曲、推測を駆使して、なにがなんでも安倍が悪い、という結論記事になっているように感じます。
2ちゃんねるまとめサイトと大差がないサイトです。そのようなものは、とうてい一般紙がソースにすべきものでありません。
イヤホンを外した理由は「音量調節不足」
当時の動画では、確かに安倍首相はインタビューの途中でイヤホンを外したり付けなおしたりしています。
ですが、最後に安倍首相はニコニコしてはっきりと、
「ちょっとね、そちらの音が、音がうるさくてね、一回一回(イヤホンを)取らせていただいているんですが」「ちょっと、音がうるさい」「ちょっとこれ、音がうるさいんだけど」
と言っています。
中継現場で、きちんと音量調節されていないイヤホンを安倍首相にテレビ局が渡した、だけのことのようです。
耳元でガンガン大音量が響いたら、まともに発言はできませんよね。
安倍首相は、思わず、発言中はイヤホンを外して、発言が終ると、次の質問を受けるためにイヤホンを付ける。これを繰り返していたに過ぎません。
批判されたのでイヤホンを外したわけではありません。安倍首相は、発言が終わるとイヤホンを付けなおしています。
批判をしたいのであれば、そこでキャスターが批判をすればいい話です。
安倍首相は、自分の発言中に大音量でイヤホンから音声を流されるとちゃんと話ができないと思っただけでしょう。
イヤホンを外したのも、「批判していません」とキャスターが発言した瞬間であって、「批判された瞬間」に外したのではありません。
リテラは、このことを無視して、悪意ある記事を書いたものと思われます。
「テレビの生中継中、キャスターのインタビュー中なのに、批判されると安倍首相がイヤホンを外した」と、ソースも付けずに書いている秋山訓子さん。
今回は、そうした経緯も検証もせずに、リテラソースでフェイクをコラムで垂れ流す朝日新聞、秋山訓子さんのお話でした。
最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。